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レジャーホテルの“フロント問題”とは?

 また、レジャーホテルと風営法にまつわる代表的なテーマとして“フロント問題”がある。すなわち、スタッフがゲストと対面して代金や鍵のやりとりをするか否かという問題である。そのため“フロントの遮蔽がある”“従業員と会わずに入室ができる”といったことも風営法適用のポイントとなる。結果的に風営法が適用されるか否かはそれぞれの要件の組み合わせによる。休憩料金の表示や玄関の遮蔽があっても、フロントの遮蔽がなく従業員と対面する場合は、風営法の適用がなく旅館業法のみでの営業が可能という。法律的な話でややこしいかもしれないが、こうしてレジャーホテルには様々なスタイルのフロントが登場してきたわけだ。

 

 風営法のレジャーホテルであれば、タッチパネルで客室を選び誰にも会わずにそのまま入室、オートロックで自動施錠され、退出時には室内の自動精算機で代金を支払えば開錠されるというのは代表的なスタイル(外出希望時や火災などの非常時にも開錠されるシステム)。できればスタッフに会いたくないというゲストにとっては好都合。他方、フロントにて代金の支払いや鍵のやりとりをする“より一般ホテル的なレジャーホテル”の場合、チェックインするゲストにとって重要なのがフロントの遮蔽度合い=開放度であろう。すなわちフロントスタッフとどこまで顔を合わすのかである。従業員に会いたくないというゲストの立場になれば、フロントの開口はなるべく小さく遮蔽度合いは高くあるべきで、これはレジャーホテルという業態を考えた場合にもセオリーといえる。

 

 一方で、最近レジャーホテル関係者との話で、積極的に訪日外国人旅行者の取り込みをする施設では、一瞬困惑するゲストがいることが話題になった。普通の宿泊施設と思って来訪した外国人が、一種変わったフロントを見て困惑する様というのはなんとなくイメージできる。ホテルといえばホスピタリティ。対面によるスタッフサービスが肝であるが、それは一般ホテルの話だ。スタッフと対面できないレジャーホテルが、一般の高級ホテル以上に客室の設備やサービスに注力するのはある種のホスピタリティともいえるが、人的交流も魅力と感じる異国からの旅人がホテルのフロントシステムで狼狽、これもまた丁寧な説明をすると“旅の一興”として楽しんでくれるという。

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 ボーダレスのボーダーはもともと国境を意味する言葉。ますます増加する訪日外国人旅行者と宿泊施設のボーダレス化は日本の宿泊産業に何をもたらすのか。レジャーホテルひとつとってもその現場にはリアリティがある。