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西武・木村文紀、好調の秘密は“メヒアの一言“と“神バット”

文春野球コラム ペナントレース2019

2019/08/28

 8月25日(日)vs楽天戦で、木村文紀選手がキャリア最多タイの第10号ホームランを放った。開幕前から「今年は10本はホームランを打ちたい」と、強く掲げていたこともあり、5シーズンぶりの2桁本塁打は、自身にとっては成長を実感できる喜ばしい結果となった。

 本塁打だけではない。ここまでチームが117試合を戦ってきた中で104試合に出場。69安打、35打点はいずれもすでにキャリアハイの数字を記録している。
 
 今季は、右翼手レギュラーの筆頭候補として開幕から先発起用が続いていた。だが、5月に入り打撃の状態を落とし、戸川大輔選手、愛斗選手、鈴木将平選手ら台頭しつつある新鋭にスタメンを譲ることも増えていた。

今季、キャリアハイの数字を記録している木村文紀 ©時事通信社

メヒアが口にしたさりげない一言

 そんなある日のこと、ちょっとした転機が訪れた。それは、普段でも当然のように交わされている、何気ない会話からだった。7月9日vsソフトバンク戦(@ヤフオクドーム)、木村選手はベンチスタートだった。同じくスタメンを外れたメヒア選手と、試合中にバッティング談義に花を咲かせていると、メヒア選手が口にしたさりげない一言が頭に止まった。

「メジャーリーグを見ていても、良いバッターは、テイクバックの時に、グリップをキャッチャーの方に向けているんだよ」

 早速、翌日から取り入れてみると、第2打席でライト方向へのホームラン。即結果が出たことからも「これ、良いのかもしれない」。手応えを感じ、その後も毎日の練習から意識するようになり、今でもチェックポイントの1つに組み込んでいる。グリップエンドを捕手へ向けることで、木村選手は「自然と右肘を張る形になり、肘が抜けやすくて強く振れる」。メヒア選手は「最短距離でボールをアタックできる角度。それにより、より長くボールが見られるし、速いスウィングスピードで振れるから、力がより一層伝わる」と、それぞれその効果を力説する。実際に、木村選手の打撃練習の打球を見た上でも、両者とも「フォーム自体は大きくは変わってないけど、同じ柵越えでも、飛距離が伸びている」と口を揃える。

 それを証明するかのように、本塁打のペースが明らかに増した。7月9日にこのベンチ内での会話が行われる前までは約3ヶ月で3本だったが、以後は1ヶ月半で7本である。

 打席内容に関しても、自身が課題とする「あっさりと三振する」という打席が減り、「追い込まれてからもしっかりとファウルで粘って、球数を投げさせたり、なんとかヒットにしたりすることができるようになってきた」と、向上していることは明確だ。