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中国での夜遊びは絶対にやめましょう

 冒頭でも書いたように、2014年の東莞の性産業の摘発作戦は、習近平政権が権力闘争の過程でおこなった非常に政治色の強いアクションだった(ちなみに現地では、2012年3月に失脚した薄熙来の利権を一掃するために摘発作戦が行われたという説が定説みたいになっているが、実際は周永康の公安利権潰しが目的だったはずだ)。

摘発作戦直後の2014年3月、東莞から脱出の準備をおこなっていた出稼ぎの女性たち。習近平体制の下ではあらゆる産業が政治に翻弄される。安田撮影

 東莞の摘発作戦を皮切りに、中国全土で性産業の取り締まりが強まるようになった。現在でも、政治的なバックグラウンドが異なる上海などではある程度はサウナが生き残っているらしいが、街のいたるところにある監視カメラの映像やウィー・チャット(中国のチャットアプリ)の位置情報などを通じて、たとえ日本人であっても中国国内での行動は当局に筒抜けである。

 現在は、伊藤忠の商社マンが広東省広州でスパイ容疑を掛けられて拘束されるなど、夜遊びどころか普通の中国滞在ですらも拘束につながりかねない時代だ。東莞は言うまでもなく、現在の中国ではどの都市でも、リスキーな行動は絶対にやめておいたほうがいいだろう。

性と欲望の中国 (文春新書)

安田 峰俊

文藝春秋

2019年5月20日 発売

2019年上半期 トラベル部門 BEST5

1位:中央線ユーザーの恐怖 「深夜の『大月行』で終点まで行ってしまったら」をプチ体験
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3位:「日本人の人肉が一番うまい」パプアニューギニアの人食い洞窟を訪ねてみた
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4位:消えた中国の性都 「東洋のアムステルダム」でヤバいホテルを泊まり歩いた話
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