2019年上半期(1月~6月)、文春オンラインで反響の大きかった記事ベスト5を発表します。トラベル部門の第2位は、こちら!(初公開日 2019年1月26日)。
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2019年は日本の温泉宿の在り方を模索する年になるだろう。それは、四方八方に広がる道の交差点のようであり答えはひとつではない。そんなホットな現場へと、ぜひ足を運んでみていただきたい。
ひとつの流れは原点回帰。ホンモノであり続けることが強みになる。海外からの旅行客の影響もあるのではないだろうか。単に日本へ旅してみたいという旅行客がすでに一巡し、“初めての日本”ではなく、もっと深い、もっと奥の“その先の日本”を求める「日本リピーター」が急増しているからだ。
そこで、日本各地の温泉宿の出番がやってきた。箱根ではなく、東北の秘湯へ。京都ではなく、広島の宮島へ。と、さらに深い日本の魅力を求めて海外ゲストの大移動が始まっている。世界から注目を浴びれば、日本は日本であることを、さらに磨かなければならなくなるのは必然だ。世界から称賛される場所は、結局、日本人にも愛されるホンモノの場所なのである。
近年、日常において、日本の文化や礼節を重んじることや、四季を愛でる喜びを感じることが少なくなってきているように思う。特に都会で生活をしていればなおさらである。実は、それらを体感できる場所は日本の温泉旅館ではないだろうか。