舌がんになった堀さんも、食道がんのリスクが高いことから、念のため内視鏡検査も受けることになったのではないでしょうか。私は消化器の内視鏡専門医から、「頭頸部がんになった患者さんで、内視鏡検査で何度も食道がんが見つかった人がいる。そのたびに内視鏡で治療して、病を克服することができた」と取材で聞いたことがあります。堀さんも定期的に内視鏡検査を受けることになるかもしれません。
ヘビースモーカー×飲酒で食道がんのリスクは3.4倍に
ちなみに、ヘビースモーカーで、「お酒を飲むと顔が赤くなる」人は、食道がんに要注意です。国立がん研究センターが行っている住民調査「多目的コホート研究(JPHC Study)」には、次のように書かれています。
「お酒で顔が赤くなる体質でもならない体質でも、飲酒による食道がんリスクへの影響は見られませんでした。ただし、喫煙指数(注・1日の喫煙本数÷20×喫煙本数)20以上のヘビースモーカーでは影響が現れ、1日当たり2合以上の大量飲酒グループで顔が赤くなる体質の食道がんのリスクが、2合未満で顔が赤くならない体質に比べ3.4倍高くなっていました。
浜田雅功さんは大丈夫……?
私はたまに、ダウンタウンと坂上忍さんが出演する「ダウンタウンなう本音でハシゴ酒」(フジテレビ系)を楽しみに見るのですが、お酒に弱い浜田雅功さんが顔を赤くしてお酒を飲み、たばこを吸う姿を見て、心配しています。実際、食道がんの専門医に話を聞くと、顔を赤くしながら接待でお酒を飲み、たばこを吸う営業職の人に、食道がんは多いのだそうです。
食道がんになったとしても、粘膜にとどまる早期がんで内視鏡治療だけで済めば、食道を温存でき、早く普通に食べられるようになります。しかし、粘膜より深く潜り込んだがんで見つかれば、多くの場合、手術が必要となります。
食道がんの手術は、胸、お腹、首の3ヵ所を切開して行います。まず、胸からの手術で食道を切除した後、胃を細長くしたり腸を移植したりして、肋骨の裏側に新しい食道の通り道を作ります。そして、新しい食道をのどの側とつなげます。