文春オンライン

名倉潤さんがうつ病で休養 1年前のヘルニア手術に問題はなかったのか?

「簡単に治る」と言われたのに神経を切断されてしまった人も……

2019/08/08
note

 8月1日、お笑いトリオ・ネプチューンの名倉潤さん(50)がうつ病を発症し、2ヵ月間休養することを発表しました。

 名倉さんは昨年6月に頸椎(首)の「椎間板ヘルニア」の手術を受けたそうです。椎間板ヘルニアとは、背骨のクッションにあたる軟骨組織(椎間板)の中身(髄核)がはみ出し、そばを通る脊髄や枝分かれした神経の一部を圧迫する病気です。この飛び出した部分のことを、医学用語で「ヘルニア」と言います。

休養を発表した名倉潤さん(左) ©getty

内視鏡手術や顕微鏡手術が普及している

 首よりも腰(腰椎)に起こることが多く、腰椎の場合は片側の腰やお尻から足にかけて、痛み、しびれ、歩行障害などが起こり、神経まひや排尿・排便障害が出ることもあります。また、頸椎の場合は首や腕、背中に痛みやしびれが出て、お箸が持ちにくくなる、ボタンをかけられなくなるといった症状が出ます。

ADVERTISEMENT

 手術は、ヘルニアを摘出したり骨を削ったりして神経の圧迫を取り除くもので、傷が小さくすむ内視鏡手術や顕微鏡手術が普及しています。また、髄核の中に針を刺してレーザーを照射し、一部を蒸散させてヘルニアを解消させるレーザー治療を行っている医療機関もあります。

うつ病の原因となった「手術の侵襲」とは?

 頸椎椎間板ヘルニアでは首の右側を切開して、食道や気管を避けながら頸椎の一部を削り、ヘルニアを摘出する顕微鏡手術が一般的で、名倉さんもこの手術を受けたと推測されます。ところが、事務所の発表によると、手術の経過は良好な一方で、「手術の侵襲という普段の生活圏にはないストレス」が要因となって、うつ病を発症したとのこと。

©iStock.com

「侵襲」とは医学用語で、手術や検査、薬などによって、患者の体や心にダメージを負わせることを言います。詳しい経過がわからないのでなんとも言えませんが、名倉さんも術後1年以上経っているにもかかわらず、手術によって受けた体や心のダメージから、なかなか回復できないでいるということなのかもしれません。

 ただ気になるのは、他ならぬ「椎間板ヘルニア」の手術を受けた後、うつ病になったとされていることです。というのも私は以前、椎間板ヘルニアで手術を受けたにもかかわらず、痛みやしびれが余計に悪くなったり、後遺症で歩けなくなったりして、精神的に追い詰められる状況に陥った人を何人か取材したことがあったからです(週刊文春「腰痛治療革命」2013年4月4日号から7回連載)。