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リスクを語らず手術を勧めてくる医師には要注意!

 そもそも、椎間板ヘルニアは痛み止めや神経ブロック注射などでしのげば、ヘルニアの部分が消えるなどして、数ヵ月で自然治癒することが多い病気です。それに、MRIでヘルニアがあっても痛みやしびれが出ない人や、逆にヘルニアがないのに痛みやしびれが出る人がいることもわかっています。つまり、骨や関節の構造異常が痛みやしびれを引き起こしているとは限らず、原因が特定できないことも多いのです。

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 ですから、椎間板ヘルニアと診断されたら、まずは痛み止めや神経ブロック注射など保存療法を試し、様子を見てください。通常は、保存療法を3ヵ月続けても治らない場合や、痛みが激烈な場合、筋肉が衰えてきた場合、排尿・排便障害などが出ている場合に、はじめて手術が検討されることになっています。

 しかし、椎間板ヘルニアを看板に掲げている医療機関の中には、手術を売りにしているところが多く、中には保険の利かないレーザー治療を強く推している医療機関もあります。そうしたところでは、保存療法よりも手術を勧められることが多いかもしれません。ですが、手術には上記のようなリスクが伴います。もし手術を勧められたら、保存療法で治る見込みがないのか、手術したらどれくらいの改善が見込めるか、手術に伴うリスクがどれくらいあるかなど、十分な説明を求めてください。

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 リスクのことをあまり話さず、「簡単な手術だから大丈夫」と甘いことばかり言う医師は、疑ってみたほうがいいと思います。心配ならば、画像診断などの検査データと診療情報提供書をもらって、別の脊椎外科医(保存療法をしっかり行っている医療機関が理想です)のセカンドオピニオンを受けてから、手術するかどうか決めるといいでしょう。

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「できない」ことより「できる」ことを評価する

 私も30代で椎間板ヘルニアを発症し、痛みとしびれで車が運転できず、仰向けで眠れなくなるなど、とても苦しみました。ですから、体だけでなく精神的な辛さや、早く手術でよくなりたいという気持ちはよくわかります。しかし、半年ほどで痛みもしびれも消え、何事もなかったようによくなりました。

 体の痛みは精神的な落ち込みによって、増幅されるとも言われています。ですから、痛みで「できない」ことより「できる」ことを評価するなど、痛みに囚われ過ぎないことも大切です。名倉さんがどのような状態なのかわかりませんが、とにかく今は仕事のことは忘れて、安心できる環境でゆっくり休んでいただきたいと思います。