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”東大クイズ王”伊沢拓司 塾バイト月100時間も「クイズで食えるようになるまで」

”東大クイズ王”伊沢拓司 塾バイト月100時間も「クイズで食えるようになるまで」

「東大模試でまさかの0点」東大受験の恩師・林修先生との思い出も

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高校生でクイズ賞金80万

――そうして伊沢さんは東大に進んでからもますますクイズに没頭されます。大学時代はアルバイトとかされていたんですか?

伊沢 いやそりゃあもうお金がなかったです。当時は塾講師のアルバイトをしていたんですが、月に100時間くらい入っていたんじゃないかな。そのくらいお金がありませんでした(笑)。

――でもクイズの賞金って結構もらえませんか?

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伊沢 高校生で賞金80万ぐらい貯めてあったんですが、大学に入った時に一人暮らしをするための経費でほとんど使ってしまいました。あと、25万のギターを買っちゃったりして……。

 

――そこまでクイズ強かったら賞金がたくさん入ると思っていました。

伊沢 賞金をもらえる番組も、クイズ番組自体も全然なくて。クイズ作成のバイトも始めたんですけど東大生が知識を存分に使っているのに時給がかなり安くて。当時はクイズ作成って採用報酬だったので、採用されないと一銭にもならなかったんです。

「東大王」が東大模試で0点をとった受験1年前

――ところでクイズと受験勉強というのは似ていますか?

伊沢 いや、クイズはテレビで紹介された話題性のあることや面白いと思われることが題材になるんです。一方受験は教科書に書いてあるような所謂「学問」になるので、大部分は違いますね。

――でも難無く東京大学に合格されました。

伊沢 いやいやとんでもない。それこそ中高ではほぼクイズ漬けの日々を過ごしていたので、授業も寝てたから全然分からない。得意な国語だけを頼りに受験1年前を迎えました。そしたら東大模試の数学がちゃんと解答欄を埋めたのに、0点だったんです。

 

――「東大王」が東大模試で0点。

伊沢 それで一気に火が付いた。自分が行きたい学校なのに、「何にもできてない」とこのテストで痛感し「勉強し直さないと東大には行けない」と気合が入りました。

――東大を選んだのはどういう動機で?

伊沢 うーん。というよりは「高校生クイズ」に出ているとどうしても「志望校は東大です」って言う雰囲気になってしまうことがあったんです。高校自体が400人中半分は東大に進学する環境だったので……。でも、そう答えながら「東大に行かないと番組にまた呼んでもらえなくなる」と思って、「行くしかない」と考えるようになりましたね。

たった1度、クイズから離れた時

――受験勉強中も、クイズの勉強はされていたんですか?

伊沢 いや、その時期は部活も辞めて一切やらないようにしていました。

 

――その間にライバルの活動とか気になりませんでした? アイツ優勝してる……とか。

伊沢 やっぱり嫌でした。だから情報を聞かないように、見ないようにしてましたね。でもその一方でクイズを辞められてホッとした時期だったので受験に専念できました。

――伊沢さんにクイズを辞めたい時期があったんですか?

伊沢 ちょうど受験勉強に入る前くらいから後輩に負けることが多くなっていたんです。「勉強しなきゃいけないのに全然勝てない!」って努力するのが辛くなってきた時期だったんです。だからそのタイミングで一度クイズを離れられたのはよかったかもしれないです。