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「生命の原型」を繰り返し表現している

 そう、加藤泉の作品はいつも、生命の根源をたどっていった先にあるものに、形を与えているんじゃないか。加藤が繰り返し描いたりかたどっているのは、名付けが行なわれるずっと前から存在している「生命の原型」とでもいうべきもの。だから、それが何なのか、だれなのかを問うても、いっこうに答えは見出せない。

 
 

 どうやら加藤泉展の会場は、理屈でものを考えなくてもいい世界のよう。ただひたすら、純真で力強い生命体の姿に触れて、心の奥のほうを揺さぶられていたい。