2019年1月~4月にテレビ東京で放送されたドラマ「デザイナー渋井直人の休日」。原作は渋谷直角の同名漫画。センスがよく、おしゃれな店や美味しい店に詳しく、優しいのに、悲しいかなモテない中年デザイナー・渋井直人(光石研)の悲哀をユーモラスに描き、好評を博した。なかでも、多くのファンの心を鷲掴みにしたのは、渋井とアシスタント・杉浦ヒロシとの掛け合いだ。現代っ子らしい飄々とした杉浦を好演したのが岡山天音さんである。最近、主演作も続き、人気急上昇の岡山さんにお話を聞いた。(原作の続編『続 デザイナー渋井直人の休日』も発売中)

「デザイナー渋井直人の休日」の思い出

――「デザイナー渋井直人の休日」、毎週楽しく拝見していました。アシスタントの杉浦ヒロシくん役、ぴったりでしたね。

岡山 ありがとうございます。「ぴったり」って、喜んでいいんですかね?(笑)
でも、杉浦くんは本当にいいキャラクターでした。あの役をできる同年代の上手な俳優は、ほかにたくさんいたと思うんですけど、巡り合わせで僕を選んでいただけたことは恵まれたなと思います。

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――原作では、杉浦くんは坊主でしたが、岡山さんが演じられて、おしゃれな感じが強まった気がします。

岡山 本当ですか? ありがとうございます。劇中、ヒップホップのPUNPEEさんのTシャツを、衣装さんが用意してくださったんです。もう販売していないレアもので、ネットオークションで落としてくださったみたいで。僕もPUNPEEさんがすごく好きだったので、本物を着させていただいたのには、テンションあがりましたね。

――そのTシャツは撮影後にもらえたんですか?

岡山 いやいや(笑)。ちゃんとお返ししました。

 

「光石さんは本当にかっこいい大先輩です」

――残念(笑)。渋井直人役の光石研さんとの共演はいかがでしたか?

岡山 光石さんは本当にかっこいい大先輩です。主役で、一番疲れているはずなのに、常にスタッフさんや、ゲストで登場されるヒロインの方々に気を配っていらっしゃいました。主演としての現場の居方は、すごく勉強になりましたね。僕も最近、主演をやらせていただく機会が増えたので、光石さんをまねしています。全然できていないんですけど(笑)。

――たとえば、どういうことを?

岡山 後輩の子にがんばって話しかけて、和ませようとしたりしています。もともとコミュニケーションが上手くないので、「絡まってんなー自分」と内心反省しながら。

 

――9月に最新主演映画の『王様になれ』が公開になります。カメラマンをめざす青年・祐介役。仕事や恋愛にももがき、焦る姿がリアルで、胸に迫りました。

岡山 台本を初めて読んだとき、性別や年代に関係なく、誰もが通過してきた苦しい時期を描いているんじゃないかなとまず思いました。恋愛や夢に向かって突き進みたいけれど、そこには苦悩や葛藤がある。演じているときは苦しかったですね。撮影が進むに連れて、口数が減っていった記憶があります(笑)。