「仕事がないとやっぱり不安になりますね」
――撮影期間中は、家に帰っても役を引きずりますか?
岡山 いや、引きずらないほうだと思います。ただ、『王様になれ』の場合、単純に、祐介が苦悩する場面が多かったので、精神的に消耗していたんでしょうね。
――『王様になれ』はthe pillowsのデビュー30周年企画映画。リーダーの山中さわおさんが原案で、本人役で出演されています。
岡山 さわおさんは、出演シーン以外にも、よく現場に見学にいらしてくださったんですが、とても緊張しました(笑)。原案のさわおさんに、ちゃんと納得していただけるような芝居を僕はできているのか、という怖さもあって。でも、とても愛情深い方で、ちゃんと目を見て話してくださる。僕も祐介と同じようにthe pillowsにどんどん没入していったので、現場でお会いするたびにいろんな創作の質問をさせていただきました。どんな質問にもちゃんと優しく答えてくださいました。
――印象深かった答えはありますか?
岡山 どういう順序で曲は完成していくのか気になって質問したら、「曲はたくさんストックがある。どんどんできてしまう」とおっしゃって、すごいなあ。やっぱり違う星のもとに生まれた方なんだなと思いました(笑)。
――作らずにはいられないのかもしれないですね。
そうかもしれません。
――岡山さんはどうですか? 役を演じずにはいられない?
そうですね……やっぱり、仕事がないとやっぱり不安になりますね。
「気にしなくてよいことを気にして」
――岡山さんは、子どものころからNHKの「中学生日記」が好きで、15歳のときに応募して「中学生日記」に出演されたのが芸能界デビュー。その後、ご自分で事務所を探して「ユマニテ」に入られた。そのころから仕事という意識でいたのですか?
岡山 当時はまだ、よくわかってなかったと思います。
――部活みたいなイメージ?
岡山 部活も入ってなかったので、よくわからないんですけど(笑)。「中学生日記」で、自分はアマチュアのまま、プロの現場に入れていただくという、俳優業でも特殊な始まり方だったと思います。ただ、責任はものすごく感じていました。背負いきれない量の責任を勝手にしょっていた感じがあります(笑)。よく知らなかったのですが、事務所に入ってから、「ユマニテはいい事務所だね」と現場で大人の方々に言われたんです。そんなところに泥を塗るわけにはいかない。でも、実力が伴わなくて自分を責める……というようなことが続いていました。
――10代から大人びていたんですね。
岡山 どうなんですかね。不器用なんだと思います。気にしなくてよいことを気にして自分の首を締めちゃう (笑)。もっと自由にやったほうが結果よかったりするかもしれないのですが、そういう癖(へき)はありますね。