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「下世話バケツリレー」には逆パターンも

 この「下世話バケツリレー」は逆パターンもある。今から6年前に文春は大物歌手の薬物中毒疑惑を実名で報道した。しかしその1週間前に《スクープ!! 超大物シンガー 薬物中毒 吸引ビデオで闇社会から脅迫も》(2013年7月24日付)と東スポが報じていたのだ。

©iStock.com

 後年、このネタを追っていた文春記者に当時の心境をトークライブで尋ねたら「匿名とはいえ東スポの報道を見て焦った。早く裏付けを取らないとマズいと思った」と語ってくれた。まさにゴシップの切磋琢磨である。

テレビではあまり報じられない「大疑惑」

 さて、文春は政治家についてもスキャンダルを放つ。

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 最新はこれ。

「厚労政務官 上野宏史衆院議員 口利き&暴言音声を公開する」(週刊文春8月29日号)

 上野氏が、外国人の在留資格を巡って法務省に口利きをしていたという疑惑。口利きをした人材派遣会社からは1件あたり2万円を受け取ろうとしたとされる。

 上野氏は「技能実習の職種のあり方に関する検討チーム」(厚労省)のトップにあたる人物なので、あっせん利得処罰法違反の疑いもある。事実なら安倍政権の「看板政策」を背景にした大スキャンダルだ。

上野宏史氏(左から2人目) ©共同通信社

 しかし不思議なことにテレビではこの「大疑惑」をあまりやっていない。韓国・文政権の「疑惑」ばかりに夢中だ。韓国の玉ねぎ男についてはたくさん教えてくれるのに日本の口利き男は追ってくれない。

 嫌韓というスパイスを下敷きに煽るネタは視聴率も良いのだろう。あと考えられるのは、しつこく報じても韓国政府からクレームは来ないという絶対的な安心感もあるのだろう。国内だと「公正中立」を求められる。なんならすぐに政権党からクレームきそう。過剰な韓国報道はそんな普段の恐怖とセットなのかもしれない。

 しかし、それでも報じるべきは「日本の政権のスキャンダル」ではないか?