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韓国の怒り「パラ五輪メダルが旭日旗を連想」論争が抱える“3つの危うさ”

韓国の怒り「パラ五輪メダルが旭日旗を連想」論争が抱える“3つの危うさ”

2019/09/12
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日の丸も旭日旗以上に侵略の象徴と目されていた

 日本統治下の朝鮮でおきた日章旗抹消事件を思い出されたい。1936年、ベルリン五輪のマラソン競技で、朝鮮出身の孫基禎が日本人選手として出場し、みごと優勝を果たした。『東亜日報』は、そのことを報じる際に、孫の写真から胸の日章旗マークを故意に抹消した。このため、同紙は9カ月の停刊処分となった。

第11回ベルリン五輪の陸上男子マラソンで力走する孫基禎選手(右)。朝鮮出身で日本代表として出場し、金メダルを獲得した ©時事通信社

 つまり、日の丸も旭日旗以上に侵略の象徴と目されていたのである。場合によっては、菊の御紋や桐紋だってそれが当てはまるかもしれない。

わかりやすく訴えかけ、動員するためのスローガン

 それなのに近年、旭日旗だけ狙い撃ちされるのは政治運動的な臭いがする。「旭日旗=ハーケンクロイツ」は、民衆や第三国に向けて、わかりやすく訴えかけ、動員するためのスローガンなのだ。

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 たしかに、政治運動の観点では、歴史的な経緯などは無視して、敵を明確に絞り、「白か黒か」の図式に当てはめたほうがわかりやすい。ヒトラーも『わが闘争』で同様のことをいっている。

 だが、誰もがそのような図式に乗る必要はない。煩雑さを厭わず、旭日旗を問題にするならば、以下の2点しかない。