地名や固有名詞が出てくる話はわかりやすい
「絶対に見つけなければならない」
福島の汚染土は30年以内に県外の最終処分地に持ち出すことが約束されている。その処分地の選定すらされていない状況を問われると、小泉氏は「細部はこれから環境省のみなさんとしっかり議論して考えていきたいと思う」と述べながら、右側に座る環境省の職員の方に硬い視線を送った。環境省の売り込みに力をいれているとはいえ、その視線には、一緒にやっていこうというより、細部を決めるのは君たちの仕事だという意図が秘められているような印象を受けた。
「イノベーションなくして達成なし」
“イノベーション”や“社会変革”、そしていきなり飛び出してきたのが“SDGs(国連が掲げた持続可能な開発目標)”。なんとなくイメージできるものの、具体的にはよくわからない。会見では、これらの言葉に力が入り、歯切れよくテンポよく、手振りを交えて語られた。前向きで積極的なイメージは持つが、つかみどころの無さを感じる。
ところが地名や固有名詞が出てくる話はわかりやすく、彼が言う景色がどんな景色なのかイメージしやすい。どんな難しい話題も身近な話題につなげて話すため耳に入りやすいが、逆にどんな話題も彼の土俵に持ち込まれ、話がすり替わる危険もある。どの話題も答えが同じ穴に入って行くように感じるのは、そのためだろう。
「戦略的な試みが世界に広がる」
安倍首相からG20で議題になった環境問題について任された中でも、小泉氏は海洋プラスチックゴミ対策の推進に関心が高いらしい。質問がこの話題になると、話しながら質問者の方に身体を向けて、前のめりになっていく。手振りも大きく語気が強まり、熱が入っていくのがわかる。プラゴミ回収率は世界1という日本の取組みを前向きに進め、世界規模でアピールできると踏んだのだろう。
国会答弁に耐えていけるのか
「農林水産省や他の省庁とも連携できることがあれば、積極的に連携していこうと思っている」
地方創生について問われると、小泉氏は農林部会で活動していた時の経験を表情豊かに話した。そしてこう締めくくった。だがこの発言の後、彼は口を真一文字に強く結び、顎を少し上げ、面白くなさそうな表情を一瞬、見せたのだ。会見中、こんな表情を見せたのはこの1度きり。おそらく農林水産省には苦い思いがあるのだろう。大臣としてリップサービスしたものの、本音は違うと思えた瞬間だ。
よく知らない話には短く答え、説明はしない。水俣病についてなどまだ勉強不足の話題には身体が大きく左右に揺れるし、答えるのが難しい質問や突っ込んでくる質問には、口がどんどんへの字になっていく。またそういう質問をする相手、警戒した方がいいような相手は、話の途中で名前を聞いて牽制する。
大臣ともなればこれまでと違い、会見も行えば国会答弁もしなければならない。それだけ批判され、攻撃される機会も出てくるだろう。これまで避けてきた話題や語りたがらなかったテーマと向き合わざるを得なくなったときにどうなるのか。正念場を迎えるのは間違いない。はたして、演じられた“政治家・小泉進次郎”ではない素の小泉進次郎が垣間見える機会はあるだろうか。