1ページ目から読む
2/2ページ目
人工知能という強力な助っ人
ただ、全ゲノム解析をするには、患者の膨大な遺伝情報を調べ尽くすことになるため、人間の手では途方もない時間がかかってしまう。調べている間に患者が死んでしまっては、元も子もない。
そこで宮野教授が目をつけたのが、人工知能である。
「膨大な数の変異から有用な情報をスピーディーに引き出すにはどうすればいいのか。試行錯誤を重ねていたところ、2013年、IBMが開発したワトソンという人工知能が、アメリカのクイズ番組『Jeopardy!』で人間のチャンピオンに勝ったという話をネットで目にしました。その瞬間、『あっ、これは使える!』と直感しました。ワトソンが文章を読んで、ある程度理解し、推論ができるなら、人間にはとても読み切れない膨大な数の医学論文を読みこんで有用な情報を引き出せるはずだと考えたからです」
ワトソンという強力な武器を手にした宮野教授のグループは、全ゲノム解析によって、めざましい成果をあげている。
では具体的に、今までどんな症例を救ってきたのか? 費用はどれぐらいまで安くなったのか?……詳細は「文藝春秋」10月号掲載のレポート「『全ゲノム解析』でここまで治せる」をご覧下さい。
出典元
【文藝春秋 目次】<総力特集>日韓断絶 藤原正彦 佐藤 優/<特別寄稿>村上春樹 「至るところにある妄想」/<特集>がん医療の新常識
2019年10月号
2019年9月10日 発売
定価960円(税込)