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「韓国内では、与党や革新系メディアを中心に、GSOMIAを“対日カード”として利用すべきだとの声が高まっていました。首相官邸や外務省の狙いは、まさにこのGSOMIAを“対日カード”として使わせない、ということにありました」
「しかも、米国が望まない協定の破棄を日本からではなく韓国に言わせる。そうすれば、『責任は100パーセント韓国側にある』と主張できます。まさにこうしたシナリオ通りに事態が動いたわけです。その意味で、短期的に言えば、日本外交の“大勝利”です」
文政権に残されたカードはほとんどない
だが、佐藤優氏は、次のようにも指摘する。
「こう見ていくと、対韓外交戦において日本が圧倒的優位に立っていることが分かります。むしろ日本にとっては、今回“勝ちすぎている”ことが問題かもしれません」
「GSOMIAの破棄という“切り札”を早々に使ってしまった文政権に残されたカードはほとんどない。日本側は、すでにそれほど韓国を追い詰めたという自覚も持っておいた方がいいでしょう。
切羽詰まった韓国側がどう出てくるか、不確実性が増しています。この先、最も心配なのは、日韓の偶発的な武力衝突です」
日韓関係の現状と今後の展望を分析した佐藤優氏の「『軍事協定破棄』文政権は外交戦に敗れた」の全文は、「文藝春秋」10月号に掲載されている。
出典元
【文藝春秋 目次】<総力特集>日韓断絶 藤原正彦 佐藤 優/<特別寄稿>村上春樹 「至るところにある妄想」/<特集>がん医療の新常識
2019年10月号
2019年9月10日 発売
定価960円(税込)