ちょうど10年前のきょう、2007年2月18日に「東京マラソン2007」が開催された。今年も2月26日に予定される東京マラソンの第1回大会である。
第1回の開催にあたっては、当然ながら新たなコースが設計された。これを担当したのは、都庁に設けられた東京マラソン組織委員会事務局である。日本陸連や国際マラソン・ロードレース協会(AIMS)の公認を得るためには、42.195キロという距離はもちろん、スタート地点とフィニッシュ地点の標高差はレース距離の1000分の1(42.195メートル)以内などといった基準をクリアしなければならない。また、大都市での開催とあって、交通規制の影響がなるべく軽くなるようにする必要もあった。
そのうえで、観光名所をめぐるコースにするという課題が、事務局に与えられる。長時間にわたり道路を封鎖する以上、観光客誘致などでそれに見合う経済効果を求められたためだ。結果生まれたのが、新宿の東京都庁をスタート地点に、皇居の二重橋、芝公園、東京タワー、増上寺、銀座、浅草雷門、歌舞伎座などを経由するコースだった。
今年の大会からは、フィニッシュ地点がこれまでの東京ビッグサイトから、東京駅前の行幸通りに変更される。コースも一部が変更され、富岡八幡宮などが新たに組みこまれた。ここには「景観と競技の両面で大会の魅力をさらに高めていく」(東京マラソン財団の手塚雅之事務局長の談話、『産経新聞』2016年3月29日付)という狙いがあるようだ。フィニッシュが交通の要所である東京駅前となることで、ランナーや観客などの利便性の向上も期待される。
ちなみに、東京マラソンの計画段階には、当時の石原慎太郎都知事から「レインボーブリッジを走らせたい」との提案があった。ただし、風が強いなどの理由から、この案は幻に終わる。コースについて石原が希望したのはここだけで、無理だとわかると、それ以上こだわることはなかったという(遠藤雅彦『東京マラソン』ベースボール・マガジン社新書)。