昨年に引き続き、代打のご指名ありがとうございます。文春野球でコラムを書かせていただくのは1年ぶりです。1年前、ベイスターズは4位でシーズンを終えました。私はプスプスとくすぶった悔しさを時間が過ぎることでなんとかごまかし、次のシーズンへ気持ちを徐々に切り替えていきました。

 今年は悔しさの種類が違います。

 2位フィニッシュで初のCS地元開催。タイガースとの戦いは、まさに“激闘”でした。初戦はなんと1−7からの大逆転負け。しかし翌日には起死回生・乙坂選手のサヨナラホームラン! ベイスターズファンの声援は日が増すごとに分厚く一体化し、横浜スタジアムは土日月と未体験の領域に達していったように思います。私はハマスタが埋まっているだけでウルっときてしまう大洋おじさんですが、ハマスタはただ呆然と埋まっているわけではなく、熱気あふれるファンで埋め尽くされていました。

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 そして秋雨の中の3戦目。お互い力を振り絞っての一戦。最後の最後でベイスターズは負けてしまいました。

 なんだこの悔しさは。

 なんだこの重たい気持ちは。

 柴田選手の涙。

 私も涙。

 でもこの重たい悔しさは、ある意味幸せの証です。悔しくて幸せなんておかしな話ですが、去年より今年の方がずっと楽しかった。地元CSがとにかくすごい3連戦だったんだもの。1997年以来の2位だったんだもの。しかも10連敗があっての2位だったんだもの。2位の翌年、1998年は優勝したんだもの。あ、なんかちょっと元気が出てきたぞ。

勝った悦びを体で表現したい

 私はここでコラムを書かせていただくとき、昔の写真を見返しています。昔の写真にはなんだか希望が写っている気がするんです(ずいぶんとおめでたい大洋おじさんです)。

 2014年に撮った写真がありました。

 お、これは、初めて「ハマの躍動感」を撮った時の写真じゃないか。

記念すべき初ハマの躍動感 ©ダーリンハニー吉川

 私はいつも生観戦をして勝った日に、勝利の悦びを体現するため、「ハマの躍動感」という写真を撮っています。これが始まったのは忘れもしない2014年5月29日。ベイスターズ対ホークスの一戦。試合は5−5ともつれ延長戦へ。鳴物も止んだ延長11回。表の攻撃を大原投手・長田投手のリレーでしのぎ、ベイスターズの攻撃。ソフトバンクの岡島投手からチャンスを作り、バッターは白崎選手。ストレートをはじき返した打球はセンターの遥か頭上を越え、サヨナラヒット! もう嬉しくて嬉しくてジャンプジャンプジャンプ! 奥さんがその写真を撮ってくれて、「ハマの躍動感」は誕生しました。

「ハマの躍動感」は基本的に生観戦をして勝った際に撮っていますが、1回だけルールを破りNHKのラジオブースで躍動した時があります。2016年にベイスターズが初のクライマックスシリーズ進出を決めた時でした。生放送の最中に進出が決まりましたが、さすがに飛んだらまずいので終了後に飛び跳ねまくりました。生観戦はしていませんでしたが、今夜くらいはいいだろうと撮ってもらったのです。