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「おいしい料理をおいしそうに描くには?」食い倒れ漫画を描いて判った難しさ

『うまうまニッポン! 食いだおれ二人旅』高田かやインタビュー#3

カルト村で生まれました。』で話題となった高田かやさんが、夫のふさおさんと一緒に週末旅行に出かけておいしいものを食べまくるコミックエッセイ『うまうまニッポン! 食いだおれ二人旅』が好評発売中です。11月におすすめの旅を描いたマンガ+最新インタビュー第三弾をお届けします! 

こんな二人が旅をします! ©高田かや 

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――これまでは高田さんご自身の過去の思い出を描くことが多かったですが、今回の作品は現在のことで、情報もたくさん出てきます。描いていて、「今までと違うな」と感じたことはありますか? 

高田 過去の思い出を描く場合は、自分の記憶の中の話ですし、とくに確認作業はしなかったのですが、今回は実在のお店や観光地がたくさん出てくるので、担当編集者さん経由で先方へ漫画の下書きをお送りして、間違いがないか内容をチェックしてもらう必要がありました。
 
 自分の描いたものを相手に直接見てもらうというのは、「密かに想いを書き綴っていた日記を、片思い相手に一方的に送りつけて読ませる」ような気まずさがあり、めちゃくちゃ恥ずかしくて、返事を待つ間冷や汗が止まりませんでした(笑)。自分の好き勝手に描いたものを確認してもらうのは、とても緊張しましたが、OKをもらえると非常に心強い気持ちになれることも初めて知りました。

『うまうまニッポン! 食いだおれ二人旅』【居続け旅】を読む

 あとは、自分の頭の中にしかなくて変わりようのない過去の話と違って、紹介したい場所の内装やメニューなどあらゆるものがどんどん変わるので、行くたびに変化している部分を見つけてしまって……。「情報って、描いた瞬間に古くなってしまうんだな」と実感して、「どこの段階を描くべきなのか?」と、悩みました。お店や食べ物の話は「なまもの」なんですね。

「酸ヶ湯」さんなんて、ちょうど改装中で、行くたびに内装がガラリと変わるので「また描き直しか!」と泣きたくなりました(笑)。ふさおさんが「この時はこうだったというのでいいんじゃない? 反対にそれが記録になるから面白いんじゃないか」と言ってくれて、それもそうかと思って、現在は存在しない幻の「改装中の仮設廊下」が描きこまれたコマがあります(笑)。

 お店から「この部分はこう変えて欲しい」と依頼されたり、「メディア掲載は一切お断りなので描かないでほしい」と連絡がきたところもあって、そういう部分でも難しさを感じました。「楽しかった」「おいしかった」ということを描きたかっただけで、迷惑をかけたかった訳ではないので……。

 食べ物の話や宿の話などを読むのが大好きで、たくさん読んできたけれど、大勢の著者の方が今回私の経験したような段階を経て情報を発信してくださっていたのかと思うと、その労力に尊敬の念すら抱きました。