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「反対運動がなければ堤防は完成」はデマだった

 つまり、そもそも反対派が運動で争っていた橋を挟んで「下流側」の堤防は、裁判を経て、すでに完成しているのだ。「反対運動がなければ堤防は完成していた」というのはデマだったことになる。

二子玉川地区の堤防は下流側のみ(国交省作成の資料に編集部が加筆)

 今回氾濫したポイントは「上流側」。たしかにここには堤防がない。なぜか。多摩川の堤防を管轄している国土交通省京浜河川事務所に聞いた。

「そもそも橋(二子橋)を境にして、下流と上流を分けて考えています。下流側は工事が終わっていて、上流側は新たに堤防を造ろうと今もワーキング(世田谷区と区民との話し合い)というかたちで進めているところでした」

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――進めているといっても、下流側の工事が終わって何年も経っている。なぜ工事に取り掛からないのですか。

「本来は堤防を早く整備しないといけないのですけど、いろいろ調整がありまして」

完成している「下流側」堤防 ©文藝春秋