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「お出ましになる場にふさわしいかどうか」という視点

 フリルやレースを甘くなりすぎないように取り入れられるのは、雅子さまらしいスタイルの1つではないだろうか。例えば、秋田県で行われた全国豊かな海づくり大会の歓迎レセプションで、雅子さまはホワイトのスーツをお召しになり、そのジャケットには細やかなフリルが施されていた。スカートのデザインによって縦長のIラインを作ることで、全体的にシャープな雰囲気を演出されていた。

2019年9月、秋田県を訪問された天皇皇后両陛下

 さらに、令和初の国賓として来日したアメリカのトランプ大統領夫妻を迎えた宮中晩餐会では、ショールカラーのシースルージャケットに、ノースリーブのドレスをお召しになっていたことは記憶に新しいだろう。この時、雅子さまは16年ぶりに、食後にお茶などを飲みながら歓談する後席(こうせき)にもお出ましになった。

2019年5月27日、トランプ大統領夫妻を迎えた宮中晩餐会が行われた ©ロイター/AFLO

 私がこれまで雅子さまのお召し物に注目してきたなかで、衣服の美しさというよりはむしろ、お出ましになる場にふさわしいかどうか、という視点からお選びになっているのでは、と思うことがあった。特に令和の時代に入り、スーツやドレスを新調される機会が増えてからは、それぞれの式典の性質や雅子さまのお役目を一層考えられているのではないかと拝察している。

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「饗宴の儀」に臨まれる天皇皇后両陛下 ©時事通信社

 その意味で、お召し物は雅子さまのお気持ちをうかがい知ることができるポイントの1つだと言えるだろう。これから行われる「即位の礼」の一連の儀式を通じて、雅子さまの装いへの関心はより高まっていくのではないだろうか。