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「NISAはなくしてもいい」に対抗する、低すぎる貯蓄率
NISAは元々イギリスのISAをモデルにしています。ISAは日本のNISAより15年早い1999年から導入され、恒久化されています。また利用者の多くはマス層です。このようにマス層の貯蓄率の上昇にも貢献をする制度をなくしてしまってもよいのでしょうか。
日本で非課税制度の歴史を振り返ると、1963年に導入された「マル優」があり、導入当初は非課税額が段階的に上昇しましたが、1988年に廃止されています。日本の貯蓄率を見ると、1970年代の貯蓄率は20%を超えていましたが、1980年代から低下傾向となり、2000年には急速に低下し、昨今は2%台になっています。
OECDが発表している主要先進国の家計貯蓄率(2016)を見ると、日本は2.56%、中国37.07%、アメリカ5.04%など、日本の貯蓄率は世界的に見ても相対的に低いのがよく分かります。
低い貯蓄率を底上げするには税制の優遇も必要で、貯蓄から投資を促すにはNISAのような投資への優遇措置は重要と言えそうです。
投資を促す制度は充実させるべき
さらに、家計の金融資産構成を見ると、現金・預金の割合は日本53.3%に対して、アメリカは12.9%、ユーロエリアは34%となっています。アメリカは債務証券6.5%、投資信託12%、株式等34.3%、保険・年金・定型保証31.7%とその多くが投資に回されています(日本銀行調査2019年8月29日)。
株式市場を盛り上げる意味でも投資を促す制度は充実させた方がよさそうです。