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BEAMS×週刊文春 FASHION is SCANDAL!!

ファストファッション、eコマース……悩みは?

設楽 でもそのときは、社員から「ビームスがメジャースポーツに関わるのはカッコ悪い。カヌーとか山登りとかのファッションだったら分かりますけど」と言われ。それが、社員の平均年齢が少し上がって、みんながゴルフをやるようになると、「うちでゴルフブランドもやりましょうよ」と提案されて、「コノヤロー」と思いました(笑)。

阿川 ハハハ。それでゴルフブランドを作った結果、先日ビームスのゴルフウェアを着た渋野日向子選手の大活躍もあって、ビームスのゴルフウェアがバカ売れしたとか。設楽さんは先見の明があったんですよ(笑)。あと、価格の問題はいかがですか? 昔はなかったファストファッションが出てきて、超高級ブランドじゃない中間の価格帯の洋服屋さんは苦しんでいるって話を聞きますけど。

設楽 それは事実です。あとはeコマースの台頭ですよね。我々は小売がメインなので、インターネットを通して服が買えるようになったのは大きな変化です。でもプラスに考えると、おしゃれの感度のベースが相当に上がっているとも言えて。

阿川 ほおー。たしかに今の若い子はみんなセンスいいもんねえ。

『BEAMS AT HOME』を開いて

設楽 安くても結構いいものを手に入れられるようになっているわけですから。すると、その次のステップとしてビームスのような、普通に見えるかもしれないけど、実はちょっと違うものの良さが分かってもらえる。そこまで来たら、次はコーディネートの技というところに行きます。ここがビームスの得意としているところで。

通販サイトの売上の6割は「社員のお勧め投稿経由」

阿川 実は、ここに来る前にビームスの店舗に寄らせていただいたんですが、店員さんが感じ良くて、上手にオススメされて、買ってしまいました(笑)。あれは社員教育なんですか?

設楽 お買い上げ、ありがとうございます(笑)。うちの社員には、「スターなきスター集団になろう」と言ってるんです。つまり、1人のスーパースターに頼るのではなくて、各人がファンを作る。コアなやつには10人のファンがつくかもしれないし、マスっぽい人には100人集まるかもしれない。

阿川 この人が勧めるんだったら買おうと思わせるってこと?

設楽 そうです。うちは自社サイトでの通販もありますが、売上の約6割は、ブログやスタイリング写真などの社員のお勧め投稿を経由しているんです。

阿川 へ~え! ビームスの社員自身がイノベーター役になってる?

設楽 (立ち上がって本を持ってきて)これ『BEAMS AT HOME』という本なんですが、社員の家の中を公開しているんですよ。社員の実名、どこの店舗で働いているのかも出したうえ、サーフィンが趣味とか、アートが趣味といった情報も記載して。

阿川 ヒェ~、社員の個人情報を公開しちゃって大丈夫なんですか?

設楽 うちはライフスタイルを売っている店だし、家の中を見せることで、この社員はこういう趣味なんだって分かるでしょ。そうすることで、「こいつから買いたい」という風になるわけです。

阿川 ああ! 社員さんにファンがつくって、そういうことか。

設楽 そう。接客を飛ばして、ネットで服を買える時代でも、「この人に共感しているから買った」というような動機づけをみんな求めているんだろうなって感じます。だからビームスは今後も、そのニーズに応えていこうと。

 

したら・よう 1951年、東京都生まれ。75年、慶應義塾大学卒業後、電通に入社。83年に電通を退社し、父・設楽悦三が代表取締役社長を務めていた株式会社ビームスに入社する。88年より、株式会社ビームス、株式会社ビームスクリエイティブ、新光株式会社の代表取締役社長。現在は株式会社ビームスホールディングスの代表取締役社長も務めている。

週刊文春が迫る、BEAMSの世界。 (文春ムック)

週刊文春

文藝春秋

2019年10月29日 発売

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