松本人志さんがメインコメンテーターを務める「ワイドナショー」(フジテレビ系)にどぶろっく、うるとらブギーズが出演したのは10月6日だった。9月21日に放送された「キングオブコント2019」(TBS系)で優勝と準優勝に選ばれた2組で、番組ではネタを2本ずつ披露した。

 どぶろっくが優勝を決めた「劇団四季」風味の下ネタはあちこちで話題になってはいたが、もともとは他局の番組。4本のネタ見せ、ゲストコメンテーター全員からの好意的コメントなど、ニュースを扱う「ワイドナショー」にしては破格の“厚遇”だろう。

 松本さんは「キングオブコント」の審査員だが、私はここに、立場を越えた「熱」のようなものを感じた。松本さんが「文藝春秋」での対談連載「松本人志 Creator×Creator」で、後輩芸人のことを語っていたからだ。

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松本人志さん ©文藝春秋

松本人志が吐露した若手芸人への思い

 4回目となる対談のお相手は、指揮者の佐渡裕さん。最初の自己紹介で「こう言うと引かれるのわかってるんですけど、松本さんのかなりのファンです」と明かした佐渡さんは、「カモシカのような足じゃなくて、カモシカの足のような足」というネタに衝撃を受けたと語る。

佐渡 松本さんの漫才をテレビで見た時、本当に教室で友達が机2個ぐらい挟んでやってくれてると思った。すごく近い感じがしたんです。

松本 なぜ指揮者の方がそんなふうに思ってくださるのか、不思議です。

初対面となった2人 ©文藝春秋

 対談開始後しばらくは、少し遠慮がちだった松本さんだが、桂枝雀ファンという共通点などで次第に盛り上がっていった。佐渡さんが小澤征爾とバーンスタインという2人の恩師について話をしたところで、松本さんが吐露したのが若手芸人への思いだった。

松本 僕がちょっと考えているのは、若手と一緒に「(人志松本の)すべらない話」という番組をやり、「M-1(グランプリ)」で審査員をしているのもそうですけど、僕と全く違う人間が出てこないとダメなわけです。ある程度、導いてやることはできますけど、僕が導けないぐらいのすごいやつが出てくるには、一体どうしたらいいのかなあって。なんかジレンマっていうか、僕は最近すごく考えますね。