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2013年に216億ドルで買収した米携帯4位のスプリントは3位Tモバイルとの合併が認められ、売却の目処がついた。売却で得られる資金は1兆3000億円と見られる。泥沼化していたスプリントから足抜けできるのは明るいニュースだが、海外で確実に期間利益を稼ぐ会社は見当たらない。

世界中で派手な投資を繰り広げるSBGだが、実は「日銭」という意味で頼りになるのは携帯電話事業の「ソフトバンク」と、ネット事業の「ヤフー」。いずれも国内の事業なのだ。

孫氏の資金繰りを阻む「携帯料金の値下げ」

3メガキャリアの一角を占めるソフトバンクは2018年度に7195億円の営業利益を稼ぎ出した優等生。ヤフーを子会社化した2019年度は8900億円の営業利益を見込んでいる。投資家から見れば、孫氏が繰り広げる兆円単位の投資の結果は「神のみぞ知る」だが、年間9000億円近くを稼ぎ出す国内の携帯電話とインターネット事業は大きな安心材料だ。

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だがここにも不安がある。政府は日本の携帯電話料金が高すぎるとして、3メガキャリアに「4割程度の値下げ」(菅義偉官房長官)を求めている。その実現を早めるため、楽天に第一種通信事業者免許を与えて4番目のキャリアを登場させ、競争促進に躍起だ。

今のところ楽天も技術的な問題で10月としていた本格的なサービス開始を来春に延ばすなど、スタートダッシュには成功していない。しかしこうした問題は時間が解決する。インフラを整えた楽天が格安な料金設置で暴れれば、携帯電話事業の収益低下は避けられない。

そこで急いでいるのが「通話」以外の収益拡大だが、頼みのヤフーの2019年第一四半期は営業利益が前年同期比24%減の361億円と落ち込んだ。広告収益の伸びが頭打ちになっていることと、ネット決済「PayPay(ペイペイ)」への投資が嵩(かさ)んだためである。

ヤフーを「日本版アリババ」にする狙い

ヤフーがPayPayへの投資を加速しているのには理由がある。本家、米国のYahoo!はGAFAに広告収入を奪われて経営難に陥り、2016年に米通信大手ベライゾン・コミュニケーションズに買収され、傘下のAOLと統合した。ポータル(玄関サイト)としていまだに人気がある日本のヤフーは例外的に生き残ったが、こうした経緯から海外で「Yahoo!」ブランドを使えない。このまま放置すれば、遅かれ早かれ日本のヤフーも米国と同じようにGAFAに飲まれることは想像に難くない。