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高2の筑駒生が語った「入試を入試じゃなくする制度です」

 筑波大学附属駒場高校2年男子生徒の「ぼくたちに入試を受けさせてください。大学入学共通テスト。ひとことで言えばこれは入試ではありません。入試を入試じゃなくする制度です。構造的な欠陥を多く抱えています。荒唐無稽な制度はいますぐ中止して、見直すべきです」という発言は、大きな反響を呼びました。あまりにも理路整然としていたため、この高校生が話したのではない、記者が作ったのではないかと疑われるほどです。でも、彼のようにしっかり考える高校生はめずらしくありません。高校生は世間が思っている以上に理知的で賢い。高校生をバカにしてはいけない。ただ、彼が社会に向き合って発信したから、注目されたわけです。

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 この筑駒生は数学が好きで物事をものすごく論理的に突き詰める。そうした思考のなかで大学入学共通テストは、とても不合理なことが多く荒唐無稽な制度と受け止めるようになったのでしょう。彼が住む東京の高校生ならば、この制度に十分、対応できる。だが、地方在住の受験生やハンディキャップを持つ受験生に対して公平ではなく、平等な機会が与えられておらず、不利になる人が出てくる。それはとてもおかしなことだと思ったようです。

 また、彼自身、自分なりにきちんと入試制度を読み解いたところ、国語や数学の大学入学共通テストのプレテストの記述式問題にも大きな疑問を抱いた。そして、こんなおかしな制度を通用させてはいけないし、不安や不満を抱いている高校生はたくさんいる。これは黙っていられない、社会に対して問題提起しなければという思いから、彼は声をあげたのでしょう。

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高校生から不満が出る前に

 英語民間試験が延期になったとしても、大学入学共通テストは実施される予定です。しかし、国語や数学の記述式問題の中身が思考を問うような内容になっていない、記述式問題の解答の採点が難しい、なぜ採点をアルバイト学生にも認めるのか、などといった多くの批判が出ています。文科省がこれらを一つひとつ改善できないようでしたら、記述式問題反対の声が高校生、高校教師、予備校、大学教員などから多くあがるかもしれません。英語民間試験を延期ではなく中止せよ、という声と合わせて。

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 今回の入試改革は2020年度ありき、民間試験導入ありきで進んだため、試験の内容や方法を十分に検討することなく、また、批判が起こっても耳を傾けずに突っ走ったため、制度設計の不備が多すぎた。

 入試改革そのものを一度、全部見直すべきだと思います。高校生から不満が出る前に、文科省は自浄能力を発揮してほしいです。