文春オンライン

血液クレンジングだけじゃない……“トンデモ医療”で大金を稼ぐ「自由診療クリニック」はなぜ野放しなのか?

有名人を叩くだけで終わってはいけない

2019/11/12
note

 血液クレンジングに限らず、医療効果が証明されていないのに、自由診療で高額な料金をとって提供されている医療行為は、他にもたくさんあります。たとえば、「がん治療」に限ってネットで探してみても、こうした治療法が出てきます。

「免疫細胞療法(活性化自己リンパ球療法や樹状細胞療法など)」「がんワクチン療法」「全身温熱療法」「高濃度ビタミンC療法」「サプリメント療法」「p53遺伝子治療」「還元電子治療」「アルテスネイトがん治療」「重水素減少水療法」……。

©iStock.com

 こうした治療法の名前を見て、一目で「医学的効果は証明されていない」と見抜ける人がどれだけいるでしょうか。「活性化自己リンパ球療法」「樹状細胞療法」「がんワクチン療法」「p53遺伝子治療」など、難しそうな医学専門用語が並んだ言葉を見て、がん専門医も認める最先端治療だと誤認してしまう人も多いはずです。

ADVERTISEMENT

「最先端のいい治療だ」と錯覚させ、大金を手にする

 さらに問題なのは、これらの治療をすべて「医師」が行っていることです。「医師がやっているのだから、効果があるだろう」「医師がやっているのだから安全だろう」と、鵜呑みにしてしまう人が多いのではないでしょうか。費用も高いだけに、「最先端のいい治療だ」と錯覚してしまう人もいることでしょう。

©iStock.com

 インフルエンサーたる有名人は、一般の人にトンデモ医療を広めないよう注意し、その言動に責任を持つべきです。ですが、EBM(科学的根拠に基づく医療)云々、エビデンスレベル云々、ランダム化比較試験云々、標準治療云々と言っても、一般の人に理解してもらうのは簡単なことではありません。医療の素人である芸能人が、セレブ扱いされて気持ちよくなり、医師の言葉を鵜呑みにしてしまうのは、致し方ない面があります。それだけ、日本最高の高偏差値エリート集団である医師の権威は一般の人にとって大きいのです。

 そう考えると、高額なお金をとって患者に効果の証明されていない治療を施している医師、そして、それを野放しにしている医学・医療界の責任は大きいと私は思います。