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我が社もビッグウェーブに乗りたい……でもどうやって?

 日に4兆円を売り上げるセール、我が社もそのビッグウェーブに乗りたい。そう考える日本企業は少なくないが、日本企業の中国市場向けマーケティングを支援する株式会社プラップジャパンの安田加奈子氏は、「安易な気持ちで取り組めば失敗する」と警告する。

「有名な中国インフルエンサーに頼めば売れると思っている方が多いんですけど、大間違いです。普段化粧品ばかり扱っているインフルエンサーが突然、ガジェットの話を始めてもファンはついていけませんよね? 売りこみたい商品にあったインフルエンサーさんを探さないといけないんですよ。外国のインフルエンサーのことなんて知らないという企業は失敗する可能性が高いと思います」

中国インフルエンサーの配信映像
ライブコマースの撮影現場

中国ならではの“ゾンビ”問題

 問題は商品とマッチするかだけではない。中国ならではの“ゾンビ”問題もあるという。

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「中国のSNSでは自動的に作られたアカウントで増やした、いわゆるゾンビフォロワーが多いですし、他にも動画の再生回数を水増しするなどして効果があったように見せかけることも。最近だとインフルエンサーによる宣伝動画が200万回以上再生されたのに売り上げがゼロだった、なんてこともありました」

 つまり商品を売るためにインフルエンサーを雇うとなると、どうしてもゾンビフォロワーの問題がついてまわるのだ。そこで費用が発生しない、素人のコミュニティから口コミを広げられないかという動きもある。2018年9月からBoJapanという在日中国人女性のコミュニティを組織するアライドアーキテクツ株式会社の藤田和重ソーシャルメディアプロデューサーに話を聞いた。

「インフルエンサーマーケティングは我が社も手がけていますし、大事な施策です。ただ、それだけじゃ難しい。じつは中国のインフルエンサーってどんどん広告費が上がっているんです。中国市場は巨大ですけど、その分、売り込みに必要な経費も莫大。大企業ならいざしらず、中小企業レベルだと砂漠にコップの水をまくような話になってしまいます」

 そこでインフルエンサーに頼らないマーケティング手法に取り組んでいるという。それが中国ECと日本企業を結ぶ「在日中国人のコミュニティ」だ。

10月に表参道で開催されたBo Japanの1周年イベント。Bo Japanは在日中国人女性のコミュニティを運営している

「まずはコスメ好きの女性を集めるところからスタートしました。彼女たちにサンプルを配り、感想をヒアリングするほか、中国のSNSに自らの体験を書き込むようお願いしています。有名なインフルエンサーではなく、同じ目線の一般人の口コミを増やすこと。こうした土壌作りが長期的なパフォーマンスにつながります」と藤田氏。

 筆者は今年10月に開催されたBoJapan1周年パーティーを訪問したが、やたらと品のいい人たちの多さにびっくりした。この手のマーケティングに駆り出される中国人は肉食系というか「がっつり稼ぐぞ」オーラを出している人が多いのだが、おっとりというか、余裕のある雰囲気を出している人たちが多い。

 中国市場は大きなビジネスチャンスだが、すでに多くのブランドがしのぎを削るレッドオーシャンだ。賢く戦わなければ利益を得ることは難しい。効率的なインフルエンサーマーケティングを使うのか、あるいはコミュニティの力を借りるのか。どちらにしても本気で取り組む必要がありそうだ。

写真=高口康太

色鮮やかにライトアップされたアリババグループ本社