11月11日は、「1」がたくさん並んでいるという理由で、若い人たちのあいだで、ふざけて「独身の日」と呼ばれていた。すなわち独身を祝ったり、デートや結婚の相手を探す日だった。けれども、いまやそんなことはすっかり忘れ去られてしまった。なぜなら、中国の巨大IT企業アリババによるeコマースイベントが敢行される、“人類史上最大のショッピングデー”へと変貌したからだ。

アリババの前最高戦略責任者のミン・ゾン氏

楽天による1年間の売り上げを、この1日だけで上回った

 昨年は、この1日だけの売り上げが3.5兆円。楽天による1年間(注・1日ではない)の売り上げである3.4兆円を抜いたため、日本でも大きなニュースとなった。

 そもそもこの企画を考えたのは、アリババグループの大手ブランド向けeコマースサイト「天猫(Tモール)」の従業員だった。アメリカで盛り上がっている「ブラックフライデー」や「メモリアルデー・セール」のようにできないかと、まねごと気分で始めたのだ。やがてそれが1日の売り上げとして類を見ないイベントになるとは、夢にも思っていなかった。

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 いまや中国全土を席巻する“独身の日”には、一体、何が起きているのか。そして、その舞台裏はどうなっているのかを、お見せしよう。