日本版(文藝春秋刊)も発売『反日種族主義

「韓国の歴史学や社会学は嘘の温床だ」。「徴用工の大法院判決はでたらめ」。

 韓国人の歴史認識を実証に基づいて批判した『反日種族主義』(李栄薫〈イヨンフン〉編著)が、今年7月の刊行以来、韓国で11万部の大ベストセラーとなっている。

 いったい、何が起こっているのか――。

ADVERTISEMENT

◆ ◆ ◆

批判が高まりつつある文政権の反日政策

「文在寅は辞任しろ!」

「曺国を逮捕しろ!」

 11月9日、ソウルの光化門広場は、反文政権の団体で埋め尽くされていた。次々と疑惑が発覚した“玉ネギ法相”こと曺国氏が法相を辞任しても、政権への批判の声は収まらない。

妻が逮捕された曺国氏

 最新の韓国ギャラップの世論調査でも、文在寅政権の支持率は45%。先月の過去最低だった39%から回復したが、不支持率は47%と相変わらず支持率を上回っている。

 文大統領は就任以降、反日姿勢を貫いてきた。10月にも、「いまは親日をするのが愛国だ」とフェイスブックに書き込んだ韓国文化体育観光部の幹部を、罷免したばかりだ。

 ところが、韓国国内では文政権の反日政策への批判が高まっている。

『反日種族主義』の爆発的ヒット

 その代表例が、『反日種族主義』の爆発的ヒットだ。本の編集を担当した作家の朴智英(パクチヨン)氏が解説する。

「韓国最大の書店・教保文庫で3週連続週間ベストセラー首位となり、インターネット書店・YES24でも総合ベストセラーを獲得しました。どの世代にも幅広く読まれていますが、特に30代から50代が多いです。男女比は若干男性読者の方が多いですね。韓国の本の売上は、日本に置きかえれば約3倍と言われているので、40万部弱になるでしょうか」

 現在、光化門広場近くの書店では、政治・社会分野のベストセラー3位。他店でも上位をキープしている。

 本書を執筆したのは、ソウル大学元教授で、現在は李承晩学堂校長を務めている李栄薫氏ら6人の研究者。李氏の専門は経済史で、とりわけ日本統治時代の経済に詳しい。

『反日種族主義』は歴史的資料をもとにして、慰安婦問題や日本統治時代について、実証的な歴史研究にもとづいて検証し、韓国の通説となっている歴史認識の誤りを指摘している。