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高校までは「日本は悪いことをしてきた」と習ってきた

 現地の書店で本を手に取った人に話を聞いてみた。

「こういった本を待ち望んでいた」という人もいれば、「酷いことが書いてあると聞いたので、手にとってみた」という声も。

 ある大学生はこう話す。

「高校までは『日本は悪いことをしてきた』と習ってきたが、この本はまったく違って興味深いです。すべてに同意できるわけではないが、通説と違うからと言って、拒絶する理由はない」

 著者の李氏は、この一連の現象をどう見ているのか。

「正直、ここまで売れるとは思っていませんでした。自分たちが学校で習ったり、社会で言われていた歴史認識と、事実は違うのだと突きつけられたことが大きかったのでしょう。また、文政権で行われてきた反日政策を、このまま続けてもいいのだろうかという危機意識が、国民の間で高まってきたことも一因だと考えています」

 光化門広場で反文政権のデモに参加していた60代男性もこう熱弁していた。

「国防や経済もそうだが、対日政策に大きな問題がある。国防で必要なはずのGSOMIAをなぜ破棄するのか理解に苦しみます。日本製品不買運動で経済にも影響があるのです。自分の父は元徴用工で、飛行場を作らされたと聞いていましたが、日本とは未来志向で協力しなければならないでしょう」

9日の光化門広場でのデモ ©文藝春秋

文大統領にも変化の兆しが

 李氏は、文大統領は歴代大統領の中でも、特別に反日意識が強いと指摘する。

「李明博・朴槿恵両大統領も誤った歴史認識に基づいた反日政策をしましたが、日本と協力すべきところは協力していた。文大統領の師である盧武鉉大統領も『親日反民族行為者名簿』を作るなど反日政策を行った人物ですが、まだ政治的に柔軟性があった。しかし、文大統領は強い反日思想を持ち、その姿勢が一貫しているのです」

 ただ、最近は文大統領にも変化の兆しがあるという。

「彼が思っていた以上に、経済、外交など様々な分野で韓日は緊密に結びついているのです。そのため、GSOMIA破棄に代表されるように、反日政策が自らを苦しめている。ASEAN関連会議で文大統領が安倍晋三首相に対話を持ちかけたのは、彼がいまジレンマに陥っている証拠でしょう。ただ彼が“反日種族主義”の考えを捨てない限り、その葛藤から抜け出すことはできません」(同前)

 11月9日、文政権は発足から2年半の折り返し地点を迎えた。文大統領は反日という軛(くびき)から逃れ、レームダックを避けることができるのか。真価が問われる。

反日種族主義 日韓危機の根源

李 栄薫

文藝春秋

2019年11月14日 発売

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