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織田信成“モラハラ提訴”「陰口や無視で賠償金を勝ち取れるのか?」判決を分ける4つの争点

「された側が不快に感じたらハラスメント」とはならない理由

荻谷 それも発言の内容と状況によるでしょう。すなわちどのような陰口を、どの程度の範囲の人に言い、それによって織田さんにどれだけのダメージがあったのか、という点がポイントになるはずです。ただ、仮に織田さんが主張するとおりの言動があったとしても、それが違法と評価されるかはまた別問題です。その判断のうえでは、部内における織田さんと濱田コーチの関係性も重要になるはずです。

「監督がコーチを訴える」という関係性

――部内では織田さんが監督兼コーチ、濱田さんがコーチということで、肩書としては織田さんの方が上でした。

荻谷 職場でのハラスメントは、互いの肩書とは関係なく起きうるものです。ただ、立場が上の人からハラスメントを受けた、という状況の方が、違法な行為として認められやすくはなります。同僚や部下から無視されるよりも、やはり上司など、立場が上の人から無視されたほうが心理的苦痛は大きいと考えられるので。

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――織田さんは、濱田コーチとは30歳近く年が離れていて、指導者としてのキャリアも濱田コーチの方が明らかに上であることから、監督という立場であっても自分に「決定権はなかった」と語っていました。

荻谷 織田さん側としても、そこを主張していくのではないかと思います。肩書上は織田さんの方が上でも、実際のパワーバランスでは濱田コーチの方が上だった、と。ただ、今回は織田さんにとって簡単な裁判にはならないと思います。

ハラスメント行為を織田さん側が立証しなければならない

――それはどういった点においてですか?

荻谷 例えば「酷い陰口を言われた」と主張するのであれば、織田さん側は具体的に、いつ、どこで、どのような陰口を受けたかを明らかにする必要があるだけでなく、そうした陰口が存在することを証拠とともに立証しなければなりません。陰口を目撃した第三者の証言があれば有力な証拠となり得ますが、そうした目撃者がいなかったり、いたとしても様々な事情により証言できなかったり……というケースも、一般には見られます。さらに本件では、その陰口が違法、すなわち、通常の人が受け入れられる範囲を著しく超えるほど悪質なものであると、評価される必要もあります。

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――織田さんは「具体的なモラハラ行為は裁判で明らかにしていく」と述べていましたが、会見では「濱田コーチに挨拶をしようとしたら、踵を返すようにどこかへ行ってしまった」などの例を挙げていました。

荻谷 その行為だけでは、現実的には賠償請求が認められるのは難しいと思います。今回の裁判においては、「違法」と評価されるほど悪質な行為を受けたと、織田さんがどれだけ具体的に主張することができるか、また立証できるのかがポイントになると考えられます。

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