沢尻エリカが今月16日、麻薬所持の容疑で逮捕された。2012年に週刊文春が大麻パーティーの模様を報じたことがあったが、今回は合成麻薬であった。その後の報道によれば、10年以上前からあれやこれやの薬物に手を出していたと取り調べで供述しているという。
今回、沢尻を逮捕したのは警視庁の「組対5課」だ。暴力団などの犯罪を取り締まる組織犯罪対策部のなかでも、この5課は銃器と薬物の事案を担当する部署である。
「マトリ」vs「組対5課」の摘発合戦
薬物犯罪の捜査機関では、「マトリ」が有名だ。麻薬取締官の略称で、厚生労働省の麻薬取締部の職員になる。むかしは「麻薬Gメン」の愛称で呼ばれたものだが、最近はこちらの呼称を目にすることのほうが多い印象だ。また「マトリ」は、特別司法警察職員として、警察官と同様に、拳銃の使用や家宅捜索、逮捕ができる。
そんな「組対5課」と「マトリ」、なにしろ「捜査対象がカブることも多く、昔は互いの捜査情報をリークして潰し合う」など犬猿の仲であったが、現在は人事交流などで協力関係が進んでいるという(注1)。
では、職務は似ている両者だが、なにが違うのか。
「マトリ」はオトリ捜査で、麻薬を買うことができるのである。いわゆる「買い受け捜査」だ。なにしろ「麻薬及び向精神薬取締法」に、取締官は「何人からも麻薬を譲り受けることができる」と明記されているのである。
そんな両者が芸能人を逮捕するのを競い合っているかどうかは知らないが、そうした調子の記事が書かれもする。たとえば「沢尻容疑者は組対5課、ピエールはマトリ…摘発合戦」(日刊スポーツ)などがそうだ。近年でいえば「組対5課」は清原和博やASKA、「マトリ」は高樹沙耶を逮捕している。
しかし、歴史的にみると、マトリは清原&ASKA&沢尻を足してもお釣りが来るくらいの大物を相手にしている。ポール・マッカートニーだ。