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『マチネの終わりに』映画化対談 福山雅治が「かなり悩みました」と明かすシーンとは?

原作者・平野啓一郎と語る“押し切れなかった恋の思い出”

 さらに二人の話は、映画のハイライトのひとつである、蒔野の洋子への告白シーンへと移る。たった一度会っただけの洋子の結婚を止めるために、蒔野はパリへと向かい、切実な思いを打ち明けるのだ。

©2019 フジテレビジョン アミューズ 東宝 コルク

「蒔野は、相当に不器用ですよ」

福山 「地球のどこかで、洋子さんが死んだって聞いたら、俺も死ぬよ。」という言葉で洋子に告白する蒔野は、相当に不器用ですよ。でも、それが彼の魅力ですが。

平野 あの告白は難しいですよね。一歩間違えると、「こいつ、アホか」って思われちゃう。

福山 あまりにモテモテの人でも説得力がなくなる。僕は、蒔野がまとう暗さと不器用さが大切かなと思いました。

©文藝春秋

平野 モテる男でも、嫌なモテる奴と、男にも愛されるモテる人がいるんですよ。福山さんがモテることに対しては「それはそうだろう」と思う男性がほとんどですから、イメージにぴったりです。

©文藝春秋

福山 いやいやいや(笑)。「俺も死ぬ」なんていうアイラブユーは聞いたことがありませんから、かなり悩みました。さらに蒔野は「洋子さんの存在こそが、俺の人生を貫通してしまったんだよ。——いや、貫通しないで、深く埋め込まれたままで、……」とたたみかける。あの告白の連続は非常にロマンチック。でも、このセリフは不器用な人が言わないと駄目ですよね。 

©文藝春秋

 蒔野と洋子は、踏み込めなかった二人なのかなとも思います。もっとグイッとお互いの領域に踏み込めば、「来てくれてありがとう」にしろ、「そんなグイッとこないでよ」にしろ、違う展開が待っていた。でも、それができなかった。

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