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さらに二人の話は、映画のハイライトのひとつである、蒔野の洋子への告白シーンへと移る。たった一度会っただけの洋子の結婚を止めるために、蒔野はパリへと向かい、切実な思いを打ち明けるのだ。
「蒔野は、相当に不器用ですよ」
福山 「地球のどこかで、洋子さんが死んだって聞いたら、俺も死ぬよ。」という言葉で洋子に告白する蒔野は、相当に不器用ですよ。でも、それが彼の魅力ですが。
平野 あの告白は難しいですよね。一歩間違えると、「こいつ、アホか」って思われちゃう。
福山 あまりにモテモテの人でも説得力がなくなる。僕は、蒔野がまとう暗さと不器用さが大切かなと思いました。
平野 モテる男でも、嫌なモテる奴と、男にも愛されるモテる人がいるんですよ。福山さんがモテることに対しては「それはそうだろう」と思う男性がほとんどですから、イメージにぴったりです。
蒔野と洋子は、踏み込めなかった二人なのかなとも思います。もっとグイッとお互いの領域に踏み込めば、「来てくれてありがとう」にしろ、「そんなグイッとこないでよ」にしろ、違う展開が待っていた。でも、それができなかった。