いまから10年前のきょう、2007年3月7日、小学館より月刊誌『AneCan』が創刊された。これはタイトルが示すとおり、同社の『CanCam』誌のお姉さん版として、20代後半の女性を読者層に想定していた。同じ日にはまた、集英社から『marisol』、世界文化社から『GRACE』と、同分野の雑誌が一斉に創刊している。そのなかで『AneCan』は2誌より多い30万部でスタートした。
有力出版社は「ライン」と称して、年代別に女性誌を配置している。小学館でいえば、『CanCam』『Oggi』『Domani』『Precious』というラインがあった。ここに主婦向け、働く女性向けなどと一貫性を持たせ、さらにファッションなどの好みや方向性もそろえることで、自社の雑誌に読者を囲いこもうというのが狙いだ(『朝日新聞』2007年3月2日付)。
小学館ではすでに『CanCam』の上の世代向けに『Oggi』があり、スーツなどコンサバティブな服を紹介してきた。だが、このころカジュアル志向の女性も増え、年齢を重ねても『CanCam』を読み続ける傾向が目立っていた。そこで前年(2006年)の春と秋には、こうした層をターゲットに『お姉さん系CanCam』がパイロット版として刊行。これが瞬く間に完売、誌面に掲載された“姉キャンブランド”も、伊勢丹新宿本店で販売されるや爆発的な売り上げを記録する。こうした成功を受け、本格的に創刊されるにいたった。
同誌では、すでに『CanCam』で人気を集めていた「エビもえ」こと蛯原友里と押切もえが専属モデルとなる。2人とも創刊当時27歳、ちょうどこのころ「アラサー」と呼ばれ始めた年代にあたった。2008年からはここへ高垣麗子が加わり、トップ3と称された。
しかし雑誌の売り上げが全体的に落ちるなか、同日創刊された3誌のうち『GRACE』は2008年に休刊、そして『AneCan』も昨年11月7日発売の12月号をもって休刊する。2010年に32万部に達した発行部数は、約8万部まで減少していた。この間、2010年に結婚した蛯原友里に続き、押切もえも昨年11月、プロ野球・千葉ロッテの涌井秀章と結婚、折しも創刊以来モデルを務めてきた雑誌の休刊と、人生の節目が重なることになった。なお、同誌のウェブサイト「AneCan.TV」は現在も継続中である。