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【日中アニメ産業最前線】『けものフレンズ』プロデューサーが語る「中国の若者が日本アニメから離れ始めた」

【日中アニメ産業最前線】『けものフレンズ』プロデューサーが語る「中国の若者が日本アニメから離れ始めた」

福原プロデューサーインタビュー #1

2019/12/02
note

――表現自体の自由度が全然違うんですね。以前福原さんは「中国には大人向けのアニメがあまりない」とツイッターに書いていましたが、現状でもそれは変わらないんですか?

福原 そもそも中国って、アニメの放送時間自体は日本より長いんですよ。ただその大半が子供向けで、深夜に放送されるアニメという市場がなかったんです。で、そこに関してはネットでの配信で日本のアニメを見るっていう形で市場を作ってたんです。ただ、今は昔より大人向けの作品は増えていますね。

「日本のアニメを高額でまとめ買い」の時代は終わった

――そもそも、中国でアニメを見る場合は全部ネット配信なんですか?

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福原 基本は配信ですね。中国の動画配信サイトで放送する作品を日本で買い付けしてるんです。ただ、その買い付けの金額も下がりましたね。

 

――中国はそういった買い付けの金額が相当高くてたくさんお金を払ってくれる……という話もネットなどでよく見られたのですが。

福原 3~4年前であれば、ものすごく高く買ってたんです。その背景として、当時ちょうど動画配信サイトが大量にできたことがあります。それで各サイトが個性を出すために、「日本の作品に多めにお金を払うから、うちで独占させてほしい」っていう形でビジネスしてたんですよ。でもここしばらく配信サイトがどんどんなくなっていって、最終的にビリビリとYOUKUとIQIYIはじめ大手数サイトで落ち着きましたね。

――過当競争が落ち着いて、買い付けの値段が下がっちゃったんですね。

福原 そうですね。昔はある配信サイトが1000万円って値段をつけたら、ライバルは1100万円って言い出す……という競りみたいな状況になってたんですけど。今は競合がないから、600万って言われて僕らとしては「安い……」と思っても、文句を言うと「じゃあいりません」ってなっちゃう。そうなると600万失うだけになっちゃうから、じゃあそれでっていう感じになりますよね。向こうも「こいつらいくらでも売るな」ってバレちゃってるんですよ。あともう一個中国独自の事情として、総量規制というか、海外製コンテンツを全配信作品の中で30%以下にしないといけないっていう規制があるんです。