2016年は「劇場アニメの当たり年」と言われ、『君の名は。』『この世界の片隅に』『聲の形』などが大ヒットして、アニメ業界も大いに盛り上がりました。

 しかし2017年を振り返ってみると、凪のような1年だったという印象があります。2016年の大当たりを受け、2017年は劇場アニメの本数が増えたものの、前年のようなメガヒットは生まれませんでした。映画界全体にあまり大きなヒットがなく、劇場アニメも例外ではなかったと言えます。

 それでも、アヌシー(国際アニメーション映画祭2017)で長編部門グランプリ(クリスタル賞)を受賞した『夜明け告げるルーのうた』や、目の肥えた観客から絶賛された『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』のような良質な作品も誕生しました。

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 もうひとつ劇場作品といえば、漫画原作の実写化も増加の傾向にあります。2017年は『銀魂』や『亜人』『鋼の錬金術師』などが実写化され、話題を呼びました。コア層と一般層の距離がどんどん近くなってきている、ひとつの証のような気がします。

じわじわと火がついた『けもフレ』ブーム

 さて、本題のTVアニメについてです。TVアニメも本数自体はかなり多かったのですが、良作・佳作はあれどビッグヒットまではいかず、アニメ雑誌の立場からすると非常に静かな年でした。

 そんな中でもいくつか印象深い作品があります。まずは『けものフレンズ』。放送開始後からじわじわと火がつきはじめ、最終的にはオタク界隈で一大ブームを巻き起こしました。

『けもフレ』は社会現象に。写真は東武動物公園でのコラボイベント ©時事通信社

 CGと作画のハイブリッド作品、『宝石の国』のクオリティも特筆すべきものがありました。独特な世界観の原作をうまくアニメーションに落とし込み、かつ感情移入しづらいと言われるCGのキャラクターを魅力的に見せたスタッフの手腕には脱帽です。

 人気の女性向けゲームのアニメ化も近年の傾向で、『活撃 刀剣乱舞』『刀剣乱舞-花丸-』『アイドルマスター SideM』などが2017年の代表作と言えます。さらに、2018年1月からは、女性ファンに絶大な人気を誇るスマホゲーム『アイドリッシュセブン』が放送開始予定。すでに第1話と第2話が先行配信され、ファンからの注目度も高く、編集部にも「もっと取り上げて!」と熱いリクエストが寄せられています。

すでに注目度が高い『アイリッシュセブン』を特集した「アニメージュ」12月号 ©徳間書店

 また、TVアニメでは続編が多かったのも2017年の特徴でした。『進撃の巨人』『おそ松さん』『ラブライブ!サンシャイン!!』『3月のライオン』『鬼灯の冷徹』『血界戦線 & BEYOND』などなど、人気シリーズの第2期が続々登場。

 この傾向は2018年も続き、第2期はもとより、『進撃の巨人』『弱虫ペダルGLORY LINE』『フルメタル・パニック!』『僕のヒーローアカデミア』『Free!』といったファンにはお馴染みの作品が、3期・4期と息の長いシリーズとして放送される予定です。