2017年、『けものフレンズ』を大ヒットさせ、一躍その名を知られるようになったプロデューサー、福原慶匡。現在も株式会社ヤオヨロズの取締役を務める傍ら、アニメ・音楽プロデューサー、芸能事務所の運営など多彩な活躍を続けている。また、コンテンツ研究のために慶應大大学院の博士課程に在籍し、研究者としての一面も持つ。
そんな福原プロデューサーがかねてより様々な場所で発言して来たのが「中国のアニメ産業の興隆・日本のアニメ産業のピンチ」についてである。制作本数も大きく伸び市場規模を急速に拡大させる中国のアニメ産業、そしてその一方で様々な構造的問題を抱える日本のアニメ産業について、福原氏は警鐘を鳴らし続けてきた。
そんな福原氏から見て、日中のアニメ産業の最前線では今何が起こっているのか。現在発売中の『週刊文春エンタ! アニメの力。』と連動して、日本アニメ業界が抱える問題について語ってもらった。(全2回の2回目/#1から続く)
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日本アニメは配信サイトという「出口」を抑えられた
――福原さんは日本アニメは今までのブランド力にあぐらをかいてたけど、そのブランド力も今はどんどん消えていると度々発言しています。その辺りに関しては、この数年で実感することはありましたか。
福原 動画配信っていうところでは、すごく痛感してます。ワーナーがクランチロールっていうサービスを抱えてるんですけど、今って日本のアニメは世界的にはクランチロールで見ている人が一番多いんですよ。で、他にファニメーションっていう北米を中心にしたアニメ系の配給会社があって、そこはソニーが持ってるんです。また非メジャー傘下の配給会社でセンタイ・
――複数のアニメ配給会社や配信サービスがあるけど、基本的にどれも日本産のサービスじゃないんですね。
福原 日本のコンテンツをワールドワイドに配信するディストリビューションは全て欧米資本が握ってるんです。ビリビリ動画は中国の会社で、なおかつニューヨークで上場してますし。世界的な流通手段を日本は持ってないんですよ。これはやばくないかということで、立ち位置がニュートラルだったセンタイまでどこかの持ち物になったら手の出しようがなくなるぞと、クールジャパン機構が買ったんですね。
――クールジャパン機構としても、一応対策は打ったわけですね。
福原 ただセンタイって動画プラットフォームではないんです。だからセンタイはアメリカのアマゾンやhuluなどの動画プラッ