韓国政府が要因として指摘する「社会凝集性」
要因の一つは、経済だろう。
1998年、経済危機などで失業率が急伸した際に韓国の自殺率は前年の10万人あたり15.6人から21.7人に急増している。問題は、失業率が改善しても自殺率は高止まりの傾向にあること。2010年からようやく減少に転じたものの、予断を許さない。
近年、ようやく自殺対策に本腰を入れた韓国政府が要因として指摘するのは、「社会凝集性」だという。聞き慣れない言葉だが、要は社会のつながりの希薄化ということだ。
伝統的な共同体の解体は世界中の国が近代化とともに経験してきた痛みではあるが、その副作用はコミュニケーション能力の低下にも現れる。「行動計画」は国際教育到達度評価国際学会の調査で韓国の学生の社会的相互交流技能が36ヶ国中35位とされたことを特記している。
日本の芸能人とはストレスのレベルが違う
むろん、韓国芸能界特有の事情も忘れてはならない。
芸能関係者は「韓国では金の卵を見つけると、デビュー前にダンスや歌のレッスンはもちろん、整形手術まで厭わず鍛え上げる。さらに一部は投資を回収するためにデビュー後も売春などに従事させる。日本の芸能人とはストレスのレベルが違う」と、同情を寄せる。
文在寅政権は17年の発足後間もなく、「歴史問題の解決」だけでなく、「自殺対策」も国政課題の一つとして発表している。迷走気味にみえる外交はさておき、せめて自殺対策だけでも手腕を発揮してもらいたいところだが…。
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