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訃報を伝える紙面によく出ていたキーワード

 訃報を伝える紙面でよく出ていた言葉が「戦後政治の総決算」。

 なかでも内政では、

《「聖域なき行財政改革」に取り組み、国鉄、電信電話、専売の3公社の民営化を断行した。》(読売・社説)

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《経済や国民の暮らしを伸ばす意義があった。》(産経・主張)

若き日の中曽根氏 ©︎文藝春秋

 毎日新聞は一方の声も詳しく伝えていた。

《民営化に反対した国鉄労働組合(国労)などの組合員がJRに採用されずに解雇され、「リストラの原点」と捉える声もある。》(「行革推進、『弱者』生む」

《国鉄、電電公社の分割民営化で、社会党支持の総評を形成する有力労組は弱体化した。55年体制崩壊への糸口を作ったのは行革だった。》(評伝)

 当時の仇敵だった社会党の力を弱める意図もあったというのだ。えげつなく、したたか。

 東京新聞は「原発推進の道 主導」という見出しを一面に大きく入れていた。これも忘れてはならない中曽根氏の「仕事」である。東京新聞のこだわりが感じられた紙面だ。

各紙、安倍政権との比較が多かった

 各紙読んで気づいたのは安倍政権との比較が多かったこと。

2012年10月、中曽根康弘元首相(右)を就任のあいさつに訪ねた自民党の安倍晋三総裁(当時) ©時事通信社

《自ら前面に立つ「大統領型」を意識したスタイル》

《ブレーンを集めた審議会を多用したトップダウンは、その後の経済財政諮問会議などを通じた首相官邸発の政策決定としてすっかり定着した。》

《小泉純一郎元首相や安倍晋三首相の政治手法の源流となったと言える。 》

 これらは朝日の一面で書かれていた。

 毎日にも《「官邸官僚」を重用して権限集中を高める「1強」体制の源流は、中曽根政権にあると言える。》とあった。