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エコノミークラスで睡眠中の女性の胸を……

 次はその一例である。イギリスのデイリーメールなどの報道によると、2016年12月にはムンバイからニューヨークに向かうエア・インディア機の機内で、エコノミークラスの座席で睡眠中の女性の胸を40歳の男が触った。

 ニュージャージー州在住でインド系のこの男、自分の座席はビジネスクラスであったにもかかわらず、わざわざエコノミークラスにやってきて女性の隣の席に座ったそうである。その言い訳がふるっている。

「自分はいつもエコノミークラスに乗っているのでビジネスクラスではよく寝られない。だから(エコノミークラスに)移ってきた」

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 この男は機内で6ページにおよぶお詫びの手紙を書いた。

「(この件で)11歳になる私の娘の将来をつぶさないでくれ。また、私には障害を持った兄弟がいる」

 むろんそんな言い訳が通用するはずもない。この男は到着後に逮捕された。有罪判決が出ると懲役2年と25万ドル(約284万円)の罰金が科せられる可能性がある。

高速バスでは女性専用バスまで存在 

 女性専用車両は日本でも鉄道やバスでおなじみであるが、海外でも一部の国で見られる。

 これらは大きく2分される。一つはイスラム教など宗教的な理由によって専用車両が設置されているもの。たとえばエジプトのカイロ、イランのテヘラン、パキスタンのカラチの鉄道などがそれにあたる。

 もう一つは性的な被害を避けることなどを目的としたものだ。こちらはインドの主要都市やフィリピンのマニラ、インドネシアのジャカルタ、ブラジルのリオデジャネイロなどの鉄道で導入されている。

 航空業界では「男女別」に関しておもだった動きはあまりみられない。1996年に日本エアシステムが導入した機内の女性優先トイレ「フローラルルーム」は現在もJALの一部機材で設定されているが、トイレの扉には「女性優先」の文字はなく、ほとんど有名無実化しているのが現状である。

 九州地方と主要都市を結ぶソラシドエアにも「ソラ女子ルーム」という女性優先トイレが設定されているが、これも機内に3つしかないトイレのうちの1つなので、男性は使用するべからずというのもやや無理があるだろう。

 しかし、高速バスでは女性専用座席どころか、女性専用バスまで存在している昨今(個人的には同じ車両に乗ることすらNGというのはいささか釈然としない感もあるが……)、ほかの航空会社にもこうした動きが広がる可能性はある。

 最後に、機内での犯罪行為はどのように裁かれるかについてもふれておきたい。

 1970年に発効した東京条約によれば、飛行機が動き始めてから止まるまでの犯罪行為について、飛行機から降ろしたり、警察に引き渡したりする権限は機長に与えられている。

 また、刑法により国際線では、航空機が登録している国の法律が適用されることになっている。ただし、いずれかの国の領空で事件が発生した場合は、その国の法律が適用される可能性もある。

 こうした犯罪に厳格に対処して再発を防ぐべきだと考える一方、機内まで男性と女性の座席を分けるのが本当にのぞましいことなのかどうか、疑問も残る。

 みなさんはどう思われるだろうか?

 エア・インディアの女性専用座席に関するニュースリリース
 http://www.airindia.in/newsdetail.htm?650

 航空機内で行なわれた犯罪その他ある種の行為に関する条約(東京条約)
 http://www.houko.com/00/05/S45/005.HTM