「リクライニング、極限まで倒すのは、機能上そうなっているんだから当然の権利じゃないか」
「いや、倒すのは後ろの人の迷惑になるかもしれないから、私は倒さない。そのあたりは空気読まないと」
飛行機や新幹線、夜行バスなどのリクライニングシートをめぐってのトラブルは、古くて新しい問題といえる。その問題がまた再燃した。きっかけはお笑い芸人の小籔千豊氏のこのツイートだった。
「マックス倒したらダメなんすか?」
3月30日
「新幹線のリクライニングを倒してもいい角度までしか倒れない椅子にしていただけないでしょうか マックス倒したら怒られました 怖くてどこまで倒してよいかわからないよ 倒せるけど怒られるグレー角度を存在させないで 基準ちょうだい マックス倒していいと思ってた 倒してよい角度おせーて」
「リクライニングシート問題 JRとか規定はないんかな 怒る角度はどこかは人それぞれすぎてわからんよ JRはどう思ってるんやろ そこハッキリ断言してほしいな なら揉めへんのに お互いストレスないよね 俺はマックス倒してよいに一票なんやけど ちゃうんかなっっ」
「マックス倒したらダメなんすか? って聞いたら やりすぎでしょ! てゆわれました 恐怖 JRさん!規定キボンヌ」
小籔氏によれば、これまで1000回以上新幹線に乗ってキレられたのはこれが初めてだという。
J-CASTニュースによれば、この「リクライニング問題」に関するJR東日本の広報部の担当者の答えは次のようなものだったという。
「前の人が座席をいきなりガクンと倒すと後ろの人は面白くないはずですので、後ろに配慮してゆっくり倒すようにしていただけたら。できれば、一声かけてから座席を倒すようにしてほしいと思っています」
一方、JR東海の公式見解は次のようなものだ。
「リクライニングの角度につきましては、お客さま同士の譲り合いやお声かけなどでご利用いただくよう、また、ご利用の際は、後ろの席のお客様のご様子に留意していただくよう、ご協力をお願い申し上げています」
JRとしては、教科書通りに答えるほかないだろう。
だが、我々としては、気を遣うという社会常識は当然ふまえたうえで、それでもなおかつ何か落としどころを見つけたい。そもそもリクライニングシートなるものは、いつごろ発祥したのだろうか。
19世紀には存在したリクライニングシート
諸説あるが、1850年頃、フランスのキャンプ用で簡易ベッドにもなるシートにリクライニング機能が備わったものが世界初のリクライニングシートといわれている。交通機関に導入されたのは、19世紀半ば以降のアメリカの鉄道。少なくとも1870年代には、シカゴ~セントルイス間を結ぶアルトン鉄道などで追加料金不要のリクライニングシート車が存在していたことはまちがいない(http://www.usrail.jp/)。
ちなみに日本では1950年に完成した特別二等車(現在のグリーン車にあたる)スロ60形客車が起源といわれている。すなわち、アメリカでは明治時代から存在し、日本でもすでに70年近くの歴史を持っている。