籠池泰典 森友学園理事長
「我々がこの学園をつくり上げようとしたのは、みなさんのご意思があってこそだと思う。しかもそのご意思の中には誠に恐縮ですが、安倍内閣総理大臣の寄付金が入っておりますことを伝達します」
日テレNEWS24 3月16日
名言、珍言、問題発言で1週間を振り返る。今週は森友学園スペシャル。国有地の格安払い下げ問題に端を発し、安倍晋三首相、安倍昭恵首相夫人らを巻き込みながら拡大した森友学園問題。籠池泰典理事長が瑞穂の國記念小學院の認可申請を取り下げたことで収束するのかと思いきや、再び急展開を見せている。森友劇場第二幕の開幕だ。
16日、現地調査に訪れた参議院予算委員会の視察委員に対して籠池氏は「安倍晋三首相から昭恵夫人を通じて100万円の寄付を受けた」と発言した(朝日新聞 3月17日)。さらに小学校建設予定地にて、集まった報道陣の前で朗々と語ったのが冒頭の言葉である。
14日には、「財務省の方から、『身を隠しといてください』と言うから、『あ~そうなんか』と、何も悪いことしてないのに。『それだったら隠そうか』と言って、10日間雲隠れしていた」(FNNニュース 3月16日)と財務省から指示があったことも明かしている。連絡したとされる財務省の佐川宣寿理財局長はこれを否定、電話を受けた籠池氏の代理人弁護士もそうした事実を否定して代理人を辞任した。さあ、ウソをついているのは誰だ?
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安倍晋三 首相
「私や家内がバックにいれば役所が何でも言うことを聞くなら、(山口県)長門市は私の地元で予算(要望は)全部通るはずだが通ってませんよ。行政の判断を侮辱する発言はやめてほしい」
毎日新聞 3月13日
このときは強気だった安倍首相だが、森友劇場第二幕ではまだ表立って発言を行っていない。2月の段階では「私や妻、事務所は一切関わっていない。もし関わっていれば首相も国会議員も辞める」と断言していた安倍首相にとって、森友学園への寄付が事実なら大問題。菅義偉官房長官は即座に「安倍首相に確認したところ、自分では寄付していない。夫人、第三者を通じても寄付していないと述べた」と否定した(ロイター 3月16日)。
園児に「安倍首相ガンバレ!」「中国、韓国が心改め、歴史教科書でウソを教えないようお願いいたします」と言わせていた極右のヘイト幼稚園とこれから作ろうとしていた小学校に、やっぱり安倍首相は入れ込んでいたのだろうか? なお、寄付金の名簿には、安倍首相の名前も昭恵夫人の名前も記載されていなかったという。
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竹下亘 自民党・国対委員長
「総理に対する侮辱だ。(籠池氏に直接)たださなきゃいけない」
朝日新聞 3月16日
首相の代わりにいきりたっているのが周囲の人物である。これまで籠池理事長の国会への参考人招致を一貫して拒んできた自民党だが、寄付発言からは一転、虚偽の発言を行えば罰則がともなう証人喚問に踏み切った。一方、籠池氏も「すべては国会でお話しすることにします」と強気を崩さない。
とはいえ、籠池理事長は安倍憎しで寄付について発言したわけではないという。長男の籠池佳茂氏は「父は今でも首相を尊敬しており、どれだけたたかれても寄付について言わなかった。断腸の思いだと思う」(産経新聞 3月17日)と父の心境を代弁している。
安倍首相と籠池氏が直接相まみえる証人喚問が行われるのは3月23日。くしくも、この日の午前10時からはWBCの決勝戦が行われる予定になっている。2大決戦が日本を熱くする!?
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稲田朋美 防衛相
「自分の記憶に基づいて答弁した。虚偽の答弁はしていない」
朝日新聞 3月14日
先週来、森友学園問題で窮地に陥っていた稲田朋美防衛相だが、安倍首相の寄付金問題でやや印象が薄れた格好。それでも「(籠池氏とは)10年ほどまったくお会いしていないし、関係も絶っている。まったくの虚偽であります」(BuzzFeed Japan 3月13日)と強気の発言をしていた翌日に証拠を突きつけられ、「自分の記憶に基づいて答弁した。虚偽の答弁はしていない」とちょっと理解が難しい答弁を行い、結局は「夫の代わりに出廷したことを確認できましたので、訂正し、おわびいたします」(フジテレビ系FNN 3月15日)と謝罪した醜態は与野党から批判を浴びた。