そんなリクエストに対し、私がバッチリ女の子を揃えると、ドンペリ20本を差し入れしてくれたりした。入場条件が極めて厳しいなか、私は個人的な人脈を使ってVVIP席への出入りを許可されていたのが本当のところである。
私たちは必ずルールを守り、場を乱さず遊びに徹していた。刺青などを見せることは絶対にしない。そういう気遣いは日頃からもっとも重視しており、私たちのことを見ても 「反社会的勢力」とは誰も思わなかったはずだ。(中略)
大手芸能事務所の関係者なども多数、VVIP席に入っていたはずだが、ではその関係者たち全ての人がまっとうな「表社会の住人」たちばかりなのかといえば、決してそうで はなかったことを私は知っている〉
著作の中では話題になった宮迫博之だけではなく、様々な芸能人と半グレの接点について語られている。
芸能人は「通常は友人に薬物を持たせておいて、密室で使う」
ULTRA JAPANの初期は半グレや反社会的勢力、芸能人が入り交じり、独特の空気を醸し出していたという。だが、半グレや反社会的勢力が、MDMAやLSDといった薬物を芸能人に供給しているのか、というと必ずしもそうでもなかったようだ。
薬物問題に詳しい全国紙社会部記者が語る。
「芸能人が薬物を使用するときによく使う手口が、通常は友人に薬物を持たせておいて、密室で使うときだけもらう。密室ですからバレにくいですし、自分は持たないので所持で逮捕されるリスクがないからです。彼らの友人は、ファッションや広告などの業界人、半グレ等ではなくいわゆる一般人であることが多い。
沢尻は自身でもクスリを所持していましたが、長い夜遊び生活のなかで感覚が麻痺して『私だけは大丈夫』と思い込んでいたのでしょう。後に恋人であるファッションデザイナーのNAOKIこと横川直樹氏も逮捕されました。このことからも薬物は一般人の間で広がっていた様子が窺えます」
沢尻の保釈後、所属事務所はメディアにこう要請した。
〈大変恐縮ではございますが、本人を更生に専念させていただきたく、本人や家族、更生先への取材、問い合わせにつきましては差し控えてくださいますよう、何卒ご理解とご協力のほど、よろしくお願い申し上げます〉
夜遊びの爛れた空気のなか、沢尻は道を踏み外していった。彼女の口から反省の弁と真実が語られる日はくるのだろうか――。