「ハードウェアの利益は要らない」と割り切っているので、シャオミの製品はともかく安い。スマホの主要性能を決める主要部品にSoC(システム・オン・チップ)がある。現時点で最高峰のSoCであるスナップドラゴン855を搭載しているスマホだと、グーグルのPixel4やソニーのXperia5は約9万円だが、シャオミのMi9は約5万円という激安価格だ。
これだけお得ならば個人輸入してでも欲しがる人が多いのは納得といったところか。
「ハードウェア業界の無印良品」を目標にしてきた
もう一つのポイントであるカジュアルなデザインも、少なからぬ日本人の支持を得ている。ここ2年の深圳ブームで同地を視察する日本人が増えているが、定番のお立ち寄りスポットがシャオミ版アップルストアの「シャオミの家」だ。アップルと大きく異なるのは販売している製品がきわめて多ジャンルに及ぶこと。スマートフォンだけではなく、スマートライトやスマートコンセントなどのIoT機器、スマートバンドやVRゴーグルなどのウェアラブル機器、組立型ロボットなどの知育玩具、空気清浄機や炊飯器、果てはバッグやスニーカーから乾電池などの日用品まで多種多様な品物が販売されている。
それらの製品は多くが白を基調とした落ち着いた色合いにまとめられている。シャオミのロゴもぱっと見ではわからないほどさりげなくあしらわれているだけ。どぎつさがなく、インテリアになじむデザインだ。その品の良さに視察に訪れた日本人がついつい“爆買い”してしまうのはよくある話だ。
シャオミはもともと「ハードウェア業界の無印良品」を標榜。中国で大人気の無印良品を見習い、既存の中国メーカーのイメージを一新する、主張しすぎないカジュアルなデザインを売りとしてきた。同社はシャオミ・エコシステムと呼ばれるパートナー企業を集め、ショップや直営ECストアで販売する商品を増やしてきた。今ではハードウェア以外の商品も多く、「ハードウェア業界の無印良品」どころか、“もう一つの無印良品”的な存在となっている。
過去には日本メーカーとトラブルも……
かくして一定のファンがいるシャオミだが、一方で「アンチ」も確実に存在する。日本をめぐるいくつかの“トラブル”があったためだ。