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 2017年9月、河南省鄭州市の大学でシャオミの採用説明会が開催された。専攻に関係なく、すべての学生を対象にするという触れ込みだったが、シャオミ・イノベーション部門責任者とされる秦濤氏は席上、「英語やアラビア語の専攻だったらいいけどね、海外市場をやってるから。ただ、あなたが日本語専攻の学生なら出ていったほうがいいかも。“映画事業”で仕事したほうがいいんじゃないの」と発言した。映画事業とは中国で人気の日本製アダルトビデオを示唆したとみられる。ジョークのつもりだったのだろうが、日本語専攻の学生を中心に批判が広がり、シャオミは謝罪に追い込まれた。この一件は日本にも報じられている。シャオミ日本上陸の報道を受け、SNSには「あの採用説明会のことは忘れてないから」という書き込みも見られた。

 もう一つ、日本で大きな波紋を呼んだトラブルが模倣疑惑だ。2014年12月、日本の新興家電メーカー、バルミューダの寺尾玄CEO(最高経営責任者)は「あまりに似ているので困惑している」との声明を発表した。シャオミが発売した空気清浄機がバルミューダ製品そっくりだという指摘だ。たんに似ているだけではない。シャオミの清浄機を開発した責任者は元バルミューダ社員であり、同じサプライヤーから部品を調達したことも明らかになったという(※『日経ビジネス』2017年11月6日)。

シャオミの空気清浄機現行モデル(※2014年時点とは細部のデザインが異なっている)
バルミューダの空気清浄機現行モデル(※2014年時点とは細部のデザインが異なっている)

 この問題が起きたのはすでに5年も前の話であり、シャオミの開発力、技術力は大きく向上している。とはいえ、無数のベンチャー企業をパートナーとして抱えるシャオミ・エコシステムを売りとしている以上、良くいえばベンチャー的な身の軽さ、悪く言えばコンプライアンス軽視の問題が起きる可能性は否定できない。

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 中国の巨人シャオミの日本上陸。さまざまな意味で話題を呼びそうだ。

シャオミの炊飯器「Mi IH」。その初代機は三洋電機で大ヒットシリーズ「おどり炊き」を手がけた内藤毅氏が開発にたずさわった