今夜開幕するプロ野球。
楽しみのひとつは「新外国人選手で誰が活躍するのか」だろう。これが当たればペナントレース予想もみえてくるが外国人選手の見きわめはなかなか難しい。
しかし、ここ数年のスポーツ新聞を読んでいれば、すでに答えは出ているのだ。しかも2月に。
プロ野球のキャンプ期間と言えば毎日練習の繰り返し。ド派手なネタはめったにない。
この期間にスポーツ紙的に華やかなのは2月3日の節分の日だ。翌日の紙面は豆をまく選手もいれば恵方巻きにかじりつく選手もいてにぎやか。
恵方巻きにパクつくと助っ人が故障する
そんななか、東スポが去年衝撃の事実を報道した。
「広島不吉… 恵方巻きの呪い?」(東京スポーツ 2016年2月6日)
広島カープのキャンプでは、節分の日に選手が恵方巻きを食べるのが恒例となっているが、その役割を担った選手がなんと「3年連続で負傷離脱に追い込まれている」というのだ。
・2013年はソコロビッチが左ふくらはぎの張りのためキャンプ中に離脱
・2014年はフィリップスがシーズン途中に左ヒザを負傷して帰国
・2015年はザガースキーが「恵方巻き」の翌日に右足首をひねってリタイア第1号となる
共通するのは「新外国人」で「投手」。これを“恵方巻きの呪い”と呼んだ。
では、2016年は誰が恵方巻きを食べるのか?私はひそかに注目していたら次の速報があった。
「広島 相次ぐ助っ人の故障で“節分の儀式”中止」(東スポWeb 2月3日)。
《3年連続で新助っ人が故障に見舞われ、チーム内外から「恵方巻きの呪い」を危惧する声が上がっていた。球団関係者は「正式にNGが出た」と明かしたうえで「恵方巻きとは関係ないとは思うが、念には念を入れてということ」と中止の経緯を説明した。》
文中の「チーム内外から『恵方巻きの呪い』を危惧する声が上がっていた」というより東スポが騒いだだけなのだが、遂にカープの恵方巻きが中止となったのである。ちなみに昨年の幻の候補はジェイ・ジャクソンとブレイディン・ヘーゲンズの両投手だった。
「フクワウチ」に大興奮したジャクソンとヘーゲンス
こうして広島の恵方巻きイベントは終了したのだが、最近「この後」のことをあらためて調べてみて「あっ!」と声を出してしまった。では、昨年の2月3日に広島キャンプでは何がおこなわれたか。
豆まきなのである。
「新外国人コンビが『フクワウチ』大興奮」(デイリースポーツオンライン 2016年2月3日)
恵方巻きを食べるはずだったジャクソンとヘーゲンズが、鬼の面をかぶって豆まきを体験した。
《初体験の2人は大興奮の様子で「日本の風習を体験できて良かった。喜びを呼び込みたい。たくさんのファンが来てくれることが喜び」とジャクソン。へーゲンズは「1年間ケガなく戦い抜いて、チームに貢献したいね」と、シーズンでの活躍を誓った。》
恵方巻きではなく豆まきに変更した広島カープ。すると……。
昨年のシーズン、ジャクソンとへーゲンズは中継ぎを中心に投手陣で見事に活躍。いや、それどころかチーム自体も25年ぶりのリーグ優勝。
恵方巻きの呪いが解けたどころか、豆まきをやったらホントに広島に幸福が訪れたのである!
最速159キロのブレイシア「初めてピーナツを人に投げたよ」
では今年は?
「新外国人・ブレイシアが初体験 『オニハソト!』と豆まきに挑戦」(デイリースポーツオンライン 2017年2月3日)
広島の新外国人ライアン・ブレイシア投手が、豆まきをおこなっていた。
この投手は最速159キロの中継ぎ候補。そう、球団は充実した中継ぎ陣にさらにブレイシアを投入するつもりなのだ。
となると当然こうなる。
「フリー打撃でブレイシア好投 広島は“外国人枠”争い熾烈に」(日刊ゲンダイ・2月9日)
広島の今季の外国人は6人態勢。「4人の一軍外国人枠を巡って、争いは激化する」と記事は書く。
かなりのハイレベルが予想される広島の外国人枠争い。そのなかで豆まきに抜擢されたのがブレイシア。先ほどのデイリースポーツの記事に戻ると、
《「初めてピーナツを人に投げたよ(笑)。他の外国人の投手からも聞いていたんだ。いい福をもらったので、いいシーズンが送れたらいい」とすっかり豆まきを楽しんだ様子だった。》
とご機嫌なブレイシア。
想像してみよう。ブレイシアが競争の激しい「外国人枠」と「中継ぎ枠」に割って入ることができたとき、広島カープ投手陣は去年よりも盤石ということになる。
恵方巻きを食べた外国人投手が3年連続で負傷した不運を考えると、少なくとも3年間は豆まきに幸運がありそうだ。
恵方巻きの呪いが解けた広島カープに、今年もやっぱり注目なのである。