「国民」へのすり寄りが透けてみえる
ただ、「桜を見る会」をめぐる野党の追及はやり過ごせても、イメージダウンは森友学園や加計学園をめぐる疑惑より大きいのではないかと、先崎氏は指摘する。
「今回の事態は、政治の世界で『間違った大衆化』が進んだ帰結のように思います。たとえば、ネットで『桜を見る会』に関連した写真を探せば、総理大臣という権力のトップにいる人間が、芸能人と馴れ馴れしくヘラヘラしている写真が次々に目に飛び込んできます。
芸能人と接触すればイメージアップできる、政権に親しみを持ってもらえると思い込んでいる。こうした総理の『国民』イメージは、完全に市井の私たち『国民』の常識から外れている。
たとえば、これらの写真を地方で生活している人が見たらどう思うでしょうか。『政治家は口では偉そうなことを言いながら、都会ではテレビに出ている連中と適当につるんでいるんだな』としか感じません。白けてしまうのです。
5月に投稿された人気グループ『TOKIO』との会食風景をはじめ、総理は最近、公式SNSに次々と有名人と映る写真を投稿していますが、人気者に乗っかってイメージアップを狙ったのに、結果として総理大臣がもつべき権威を投げ捨てている。国民への影響という意味では、マルチ商法の『ジャパンライフ』の元会長との関係より、このイメージ戦略の失敗の方が大きい。森友学園や加計学園の問題に比べても、そもそもスキャンダルとしての緊張感すらないだけに、後々響くような気がしています」
TOKIOの皆さんと再会しました。福島 復興のために頑張ってくださっています。話に花が咲き、本当に楽しいひとときを過ごすことができました! pic.twitter.com/bZz67Il6mE
— 安倍晋三 (@AbeShinzo) May 12, 2019
この「間違った大衆化」という問題は、野党にも言えることだという。
「名簿を破棄したとされるシュレッダーを取り囲んだり、野党合同ヒアリングで官僚を追及したりしている野党議員の姿を見ていると、『こういう画を国民は喜ぶのだろう』という下心が見えてしまっている。以前に国会で『自民党感じ悪いよね』という品のないプラカードを掲げた野党議員と一緒で、『こうやれば国民にすり寄れる』と思っているのが透けて見えて、国民はバカにされているように感じてしまうのです。
国民は同じ時期に、天皇陛下の即位に伴う儀式もみています。厳粛な雰囲気の中で行われた一連の儀式に、日本の文化の厚みを感じたと思います。それに比べてあまりにも緊張感のない政治の光景に、多くの人は『与党にも野党にも乗れない』という違和感を持つのではないでしょうか」