最近じゃ大学病院にも美容外科があるけど、優秀とはかぎらない
鳥集 最近では、皮膚科医も美容整形業界に参入し、メスを使わずに注射だけで鼻を高くしたり、シワを取ったりするプチ整形が流行っています。
高須 皮膚科の先生が今さかんにヒアルロン酸やボトックスなんかのメスを使わない整形をやってるよね。美容整形の黎明期は、シリコンだとかワセリンだとかの注入物で鼻を高くしたり、おっぱいを大きくしたりしてたんだけど、血管を詰まらせて皮膚を壊死させるトラブルや肺塞栓で死亡するような被害も多かった。でも、その積み重ねで安全な注入物や注射の方法ができて、今がある。
以前は「美容外科医はメスをふるって手術をするやつが優秀」って言われてたけど、メスを使わないで整形できる時代になって、全部ひっくり返っちゃった。今は大学病院にも美容外科があるけど、大きな病院の美容外科医が優秀かといったら、そうでもない。東大病院にも美容外科があるけど、そのままじゃ使い物にならないからね。ウチもたくさん雇ってるけど、何にもできないもの。
鳥集 使えないというのは、センスがないということですか？
高須 そうそう！ センスがないの。「〇〇をやってください」ってオーダーしたらその通りやるんですよ。でも、普通のおばさまやお嬢ちゃまが来て、「美人にしてください」っていうと「どうしたらいいんだろう」ってなっちゃう。
鳥集 専門的な医療の問題点を指摘する言葉に、「臓器を見て人を診ず」というものがありますが、それに似てますね。
高須 その通りです。人間をまるごと見なきゃダメなんです。
鳥集 美容外科とはズバリ何でしょう？
高須 美容外科は、美容院だと思ってくれたらいいかな。美容院では、とにかく素敵な髪型にしてくれればいいのであって、シャンプーがいいのか、カットがいいのか、パーマがいいのか、毛染めがいいのか、美容師が総合的に判断して髪型作るでしょ。
美容外科も、手段は何でもいいから美人になって、若くなったらいい。形成外科はそれ以前の問題で、美容院行ってカッコよくしてもらおうったって、髪がなかったらダメでしょ。形成外科ってのは、まずハゲを治すところなの。だから交通事故に遭ったときも、もとの顔に戻すまでが形成外科。そこで治療が終わったら賠償金をもらって、それで美容外科に美人になる相談に来てくださいね、ということなんです。
構成：大場真代
「最初から美容外科医になろうなんて思ってるヤツはバカ──高須克弥インタビュー＜第2回＞」に続く
