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現役引退した上原浩治が作家・万城目学と振り返る「孤独だったからこそ強くなれた、ぼくらの雑草時代」

現役引退した上原浩治が作家・万城目学と振り返る「孤独だったからこそ強くなれた、ぼくらの雑草時代」

上原さんの誕生日をもらったんです

万城目 上原さんが作った言葉なんですか?

上原 あれはメディアが作った言葉なんですよ。僕が巨人に入った時に「雑草魂」と書いてくれて、それを僕も気に入って使っていました。

万城目 そうだったんですね! 長年の謎が1個、解けました。僕はずっと関西を舞台にした小説を書いていまして、『鹿男あをによし』という奈良の鹿がしゃべるお話は、2008年に玉木宏さん、綾瀬はるかさん主演でドラマ化されたりしました。上原さんは2009年に渡米されているから、ギリギリでご存知かもしれない。

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上原 すみません、ちょっと存じあげなかったです。

万城目 問題ないです! ちなみにデビュー作は『鴨川ホルモー』という、鬼を操る京都古来のなんちゃってスポーツの話なんですが……。

上原 どれも発想がすごいですね(笑)。

万城目学さん

万城目 主人公が二浪して大学に入学した瞬間に21歳になって、現役で入ってきた18歳の同級生たちと話が合わないってところからスタートするんです。その導入部を作るために、主人公の誕生日を4月3日に設定したんですよ。上原さんの誕生日をもらったんです。

上原 そうなんですね!

くすぶっていた予備校時代の効用

万城目 あと、あれは上原さんがワールドシリーズで優勝した年だから、2013年かな。風呂掃除をしてて、上半身を一切動かさずに肩の動きだけで風呂桶を全部洗ってやろうとしてみたら、猛烈に肩を痛めて。その時にTwitterで、「上原浩治が同じように風呂掃除しても、肩柔らかいから痛めへんのかな」みたいなことをつぶやいたんですよ。

上原 そんなん、絶対痛めますよ(笑)。

万城目 何が言いたかったかというと、僕の人生では折々に上原さんがよぎるんですよ。同学年ということはもちろん、ともに一浪しているのが大きいと思います。大阪にある予備校に通ってたんですか?

上原 大阪です。ただ、大きい予備校には友達もいるから、あえて誰も知り合いがいない所に通っていたんですよ。友達が一緒だと、きっと遊んでしまうし、勉強に集中できないと思ったので。

万城目 受験勉強しながら、野球もしていたんですか?

上原 あの1年間は、野球はほぼしてないです。予備校とバイト、気分転換でジムに通って、たまにおっちゃんたちの草野球の仲間に入れてもらって遊んでたぐらいですね。大学に合格したら野球もやりたかったけど、それだけがやりたかったわけじゃなくて。体育の先生になるつもりだったんですよ。実際、教育実習にも行きましたし。

万城目 でも、大学で野球を再開してみたら、メキメキうまくなっていった?

上原 ピッチングしたら球が速くなっていたのは自分でも実感しました。1年間ジムに通っていたので、結果的に体づくりができていたのかな、と。